ロシア国債発行額が1日当たりで過去最高、外国人保有割合も上昇

(ロシア)

欧州ロシアCIS課

2019年03月15日

ロシア財務省は3月13日に実施した連邦債(国債)の入札で合計915億ルーブル(約1,555億5,000万円、1ルーブル=約1.7円)分を発行し、1日当たりの発行額では過去最高規模を記録した。新興国への資金流入傾向や好調な原油相場などを背景に、海外からの需要も高まった。

財務省のプレスリリースによると、入札を行ったのは(1)3年国債(満期日:2022年7月20日、加重平均利回り年率:8.00%)、(2)10年国債(2029年5月23日、8.47%)の2種類で、それぞれの発行額は(1)347億ルーブル、(2)567億ルーブルとなった。財務省のコンスタンチン・ビシュコフスキィ国家債務・金融資産局長は「入札では非居住者(海外)からの需要が5割を超えた」と明かしている(ロイター通信3月14日)。

ロシア国債市場で非居住者が占める割合は、2018年4月の米国制裁発動後は低下傾向だったが、2019年に入ってからは上昇に転じている。その要因について、ズベルバンクのアンドレイ・シェメトフ・グローバル市場部長は「各国での金融緩和政策(の継続)の結果、(ロシアを含めた)新興市場への資金流入の動き」を指摘する。2月中旬には、米国議会への対ロシア追加制裁法案提出(2019年3月5日記事参照)を受けてロシア国債への需要が一時的に落ちたものの、すぐに回復した。ロシア中央銀行の発表によると、3月初め時点で国債市場における非居住者の投資割合は年初の24.4%から25.5%に拡大した(図参照)。欧米金融機関の関係者が「外国の投資家は制裁関連のニュースにもう慣れている」との見方を示しているほか、ロシア金融機関プロムスビャジバンクの主任アナリストも「原油価格上昇と全体的な新興国資産への関心(が強まる)傾向が、ロシア国債につきまとう制裁リスクを一部で相殺している」と説明する(「コメルサント」紙3月14日)。

図 ロシア国債市場に占める非居住者の投資割合

財務省、中央銀行とも外国人投資家の国名などの情報を公開していない。だが、一部の市場関係者の間では、米国からの制裁を受けているベネズエラのマドゥロ政権が、制裁回避のために安全資産としてロシア国債の購入を進め、これが2月の非居住者保有割合の拡大に多少なりとも貢献した、との見方がある(RBK3月12日)。

(市谷恵子)

(ロシア)

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