対ロ追加制裁法案を公表、14日超の国債購入を制限

(米国、ロシア)

欧州ロシアCIS課

2019年03月05日

米国上院はこのほど、「2019年クレムリンによる攻撃からの米国安全保障防御」(DASKAA)法案(2月13日付、注)の内容を公表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。金融やエネルギー分野への追加制裁のほか、NATOの結束強化や化学兵器不拡散、サイバー犯罪防止、選挙干渉防止などに向けた条項が含まれている。

金融分野では、DASKAA法の発効後60日以内に、米国大統領はロシアのソブリン債務の取引、融資などを禁止する規則を定めるものとする。対象となるのは、a.満期14日超のロシア中央銀行、国民福祉基金、ロシア財務省とこれらの支部やエージェントなどが発行する債券、b.14日超のロシア中銀、国民福祉基金、ロシア財務省との外国為替スワップ協定、c.その他14日もしくはこれを超える期間のロシア政府が発行、もしくは米国大統領よってロシア政府の国債と定められた金融商品。同法の発効後90日目以降に発行されたものが対象となる(セクション238)。

法案には、ロシア国内での原油開発支援に関わる制裁も記載されている。a.ロシア国内の原油鉱区開発・生産に直接または著しく関与する、もしくは、b.ロシア国内の原油鉱区開発を容易にするインフラの建設、近代化、修繕に伴う直接的かつ著しく寄与する、c.製品・サービス、技術、ファイナンス、サポートで、かつ、d.その市場価格が100万ドル以上、もしくは12カ月の間に合計額が500ドル万以上のもので、e.同法発効後、故意にロシアに販売、リース、供与を行ったものが対象となる(ただし、発効日時点で稼働しているメンテナンスプロジェクトは除外)。DASKAA法発効後90日以内に国務長官は財務長官、エネルギー長官と相談の上、除外内容と、対象となる製品、サービス、技術、ファイナンス、サポートを明確化するなどの要件ガイダンスを定める(セクション239B)。

さらに、ロシア国外の液化天然ガス(LNG)輸出施設に故意に投資したものに対しても制裁を科す。対象はa.ロシア国外のLNG輸出施設建設向けで、かつ、b.ロシア連邦に直接的かつ著しく貢献する投資で、c.その市場価格が100万ドル以上のもの、もしくは、12カ月間での合計額が500万ドル以上のもの、としている(セクション237)。

ロシアのドミトリー・ペスコフ大統領報道官は2月28日、「(公開された)法案は最終的なものではない」としながらも、「採択されれば両国関係に追加的な打撃を与えるだろう」とコメント、推移を注意深く見守る方針を示している。

(注)メディア情報によると、公開日は2月27日。米国上院ウェブサイトには公開日に関する記載なし。

(齋藤寛)

(米国、ロシア)

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