オーストラリアとインドネシア、包括的経済連携協定(IA-CEPA)に署名

(オーストラリア、インドネシア)

シドニー発

2019年03月12日

オーストラリアとインドネシアは3月4日、ジャカルタで包括的経済連携協定(IA-CEPA)に署名した。オーストラリアにとってインドネシアは13番目の貿易相手国であり、2017/2018年度(7月~翌年6月)の両国間の貿易額は168億オーストラリア・ドル(1兆3,104億円、豪ドル、1豪ドル=約78円)に達している。

両国は2018年8月、IA-ECPAに実質的に合意(2018年9月13日記事参照)していたが、オーストラリア政府が「エルサレムをイスラエルの首都と認識する」との見解を示したことで、インドネシア政府が不快感を示し、署名が棚上げになっていた。

2020年までに99%の品目に対して関税撤廃または優遇措置付与

今回の署名を受け、オーストラリアのスコット・モリソン首相とサイモン・バーミンガム外務貿易相は次のような共同声明を発表した。

  • 両国間の経済関係の強化は、両国のビジネスにとって新たな貿易の機会を生み出し、双方向の投資を促進し、両国の繁栄を高めることとなる。
  • インドネシアは2億7,000万人の人口を有するとともに、高度な経済発展を続けており、世界最大の経済国の1つとなる見込み。インドネシアとの関係を強化することは、戦略的にも経済的にも重要だ。
  • オーストラリア産品の99%の品目について、インドネシア側での関税が2020年までに撤廃されるか、または大幅に改善された優遇措置を受けられる(インドネシア産品は、全ての品目でオーストラリア側での関税が撤廃される)。オーストラリアの生産者にとって大きな後押しとなるだろう。穀物(無関税の対象数量が拡大)、生体牛、牛肉、乳製品、園芸など多く分野で、関税の削減とインドネシア市場へのアクセスの改善の恩恵を受けるだろう。
  • 鉄鋼、銅、プラスチックなどの製造業も恩恵を受ける。ヘルスケア産業、鉱業、電気通信、観光、教育などのサービス産業も、インドネシア市場へのアクセスが拡大する。

声明は、投資機会の拡大、職業訓練プログラムを通じたインドネシア人への職業教育の提供、観光関連ビジネス、インフラなどインドネシア国内事業への進出機会についてもコメントしており、双方向での経済発展に期待が寄せられている。

(藤原琢也)

(オーストラリア、インドネシア)

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