商用車大手ガズへの制裁猶予が2019年7月まで延長に

(ロシア、米国)

モスクワ発

2019年03月07日

米国財務省外国資産管理局(OFAC)は3月6日、ロシア商用車製造大手ガズ・グループ(以下、ガズ)への制裁措置の猶予期間の設定について、2019年3月7日までとした前回の猶予期限の延長(2018年12月21日記事参照)を、2019年7月6日までさらに延長することを決定した。

新たに発表されたのは、OFACの一般許可第13K号PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)一般許可第15E号PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。具体的には、ガズもしくはガズが直接・間接的に50%以上所有する子会社に対して、4月6日以前の契約などの合意により実施される活動の継続、業務終了に必要な全ての活動を、米国東部時間の2019年7月6日午前0時1分まで認める。

OFACは1月27日、ガズと同内容の制裁を科していたロシアのアルミニウム大手ルスアルなどへの制裁を解除したが(2019年1月29日記事参照)、その対象にガズは含まれていなかった。

ドミトリー・コザク副首相はジョン・ハンツマン駐ロシア米国大使との会談(2018年10月19日)後の記者会見で、ガズへの制裁解除に向け、国の関与やフォルクスワーゲン(VW)への株式売却なども検討していると述べていたが、経済紙「ベドモスチ」(2019年3月6日)によると、VWグループ・ルスのマルクス・オセゴウィッチ社長は「制裁対象になっている以上、ガズの株式買収は実行できない」とし、交渉は中断しているという。

ガズは、沿ボルガ地域のニジュニ・ノブゴロド市で「ガゼリ」ブランドで知られる商用車を生産しているほか、VWグループの「シュコダ」ブランドやダイムラーの「メルセデス・ベンツ」ブランドの乗用車の一部も組み立てている。また、複数の在ロシア日系自動車部品メーカーとも取引がある。

(戎佑一郎)

(ロシア、米国)

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