米国、ルスアルなどロシア財閥企業3社への制裁を解除

(ロシア、米国)

欧州ロシアCIS課

2019年01月29日

米国財務省外国資産管理局(OFAC)は1月27日、ロシア新興財閥オレグ・デリパスカ氏が直接的または間接的に株式を保有するロシアのアルミニウム製造大手ルスアル、資源大手En+グループ(ルスアルの主要株主)、電力大手ユーロシブエネルゴ(EN+グループ傘下)に対する制裁を解除外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

OFACによると、当該3社はOFACが求める制裁解除の条件である、a.デリパスカ氏の持ち株比率の縮小、b.En+グループとルスアルの取締役会構成員の見直し、c.コーポレートガバナンスの強化、d.経営の透明性を保証するための(OFACに対する)監査・報告義務を受け入れること、の4点に合意したという。これまで、米国財務省との合意に基づいて制裁リストから解除された事例はなく、今回が初めてのケースとなる(「ベドモスチ」紙1月28日)。

なお、デリパスカ氏個人は引き続き、特別指定国民(SDN)リストに登録され、米国における個人資産および同氏が50%以上の株式を保有する企業の資産は凍結される。

世界のアルミ生産量2位を誇るルスアルへの制裁は国際市場にも大きく影響しており、今回の制裁解除で、アルミの価格が引き下がることが予想される。ロシアの信用格付けACRAのマクシム・フダロフ・ディレクターは「ルスアルはすぐに顧客を取り戻すだろう」と述べた(「RBK」1月28日)。

本件は、2018年4月6日に導入された米国の追加制裁(2018年4月10日記事参照)に対する解除措置。OFACは4月23日に制裁導入の猶予期間を設定し、その後4回にわたり猶予期間を延長、12月に当該3社への制裁を解除する意向を示した後(2018年12月20日記事参照)、最新の猶予期限は2019年1月28日となっていた。

(戎佑一郎)

(ロシア、米国)

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