複数の仮想通貨を扱うデビットカードが登場、開発企業のCEOに聞く

(米国)

アトランタ発

2019年03月27日

ジョージア州は、フィンテック産業の集積地として近年、注目を集めている(2018年1月11日記事参照)。フィンテックで注目される技術の1つにブロックチェーンが挙げられるが、ジョージア・テクノロジー協会(TAG)によると、同州には20社を超えるブロックチェーン関連企業が存在する。その1つ、テルニオ(Ternio)の共同設立者、ダニエル・グールドマン最高経営責任者(CEO)に同社の開発したブロックカード(BlockCard)の特徴と今後の展望を聞いた(3月20日)。

(問)テルニオが開発したブロックカードとは。

(答)ブロックチェーンを応用した仮想通貨(暗号資産)のデビットカードで、2018年12月から米国内での実証実験を開始し、ユーザーは5,000人に達している。現在、米国で許可されている仮想通貨のデビットカードにはほかにもビットペイ(Bitpay)とモナコ(Monaco)があるが、ブロックカードの特徴は複数の仮想通貨を扱える点だ。当初はビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、ステラ(XLM)、テルニオ(TERN)の4種類だったが、現在はこれらにライトコイン(LTC)、ビットコインキャッシュ(BCH)が加わり、合計6種類の仮想通貨が扱える。1つで、BTCでもXLMでも買い物ができる。本人確認などを経て、数分でアカウントを開設でき、主要なクレジットカードが使える米国内の店舗で使用可能だ。

(問)今後の展望は。

(答)ブロックカードを利用できる国・地域を拡大していきたい。日本でも利用可能となるよう、提携できる日本の金融機関を探しているところだ。技術革新によってブロックチェーンと従来の銀行ネットワークを連携させることが可能となり、これによりもたらされるメリットは大きい。消費者にとっては支払い手段の選択肢が増えるし、企業側はセキュリティーや取引記録管理などにかかるコストの削減が期待できる。

また、テルニオとしては、ブロックカード以外にも、さまざまな分野でブロックチェーンを応用していきたい。特許出願中のブロックチェーン技術「レキシコン(Lexicon)」は、1秒間で数万件の高速取引処理が可能だ。例えば、サプライチェーンにおいては、企業間で需給に関する情報をスムーズに伝達することが必要だが、データを互いにやり取りする従来の方法では、川上・川下間での情報伝達が徹底されないこともある。ブロックチェーンを応用すれば、サプライチェーン企業間でデータを共有でき、こうした問題も解決できる。また、患者の個人データや支払い履歴を扱うヘルスケア分野などでも、ビジネスチャンスが大きいと考えている。

(高橋卓也)

(米国)

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