インドとトルコをGSP対象国から除外

(米国)

ニューヨーク発

2019年03月12日

米国通商代表部(USTR)は3月4日、インドとトルコを一般特恵関税制度(GSP、注)の対象から除外すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。今回の変更は、米議会とインド、トルコ政府への通知から60日経過後、大統領布告(Presidential Proclamation)により適用される予定。

USTRは除外の理由について、インドに関しては同国の複数の産業分野において公正かつ合理的な米国の市場アクセスが損なわれているため、としている。USTRは2018年4月、貿易障壁の撤廃を訴える米国の乳製品業界と医療機器業界の要請を受けて、インドを見直し対象に指定していた。インド経済誌「ライブミント」(3月6日)によれば、GSPからの除外に対する報復措置として、インド政府が米国製品に対し106億ドル相当の追加関税を賦課する可能性がある。なおインドは、米国政府の1962年通商拡大法232条に基づく鉄鋼・アルミニウム関税に対する報復として、アーモンドやリンゴなどへの関税賦課の発動を決めているが、実際の発動日をたびたび延期してきた。次回の発動予定日は4月1日とされている。

トルコの除外理由に関しては、同国が十分な経済発展を遂げており、今後の米国市場への優先アクセスの恩恵は必要ないと判断したため、としている。USTRは、2018年8月にトルコのGSP資格の見直しに着手すると明らかにしていた(2018年8月7日記事参照)。

2017年のインドからのGSPを利用した輸入額はCIFベースで約59億7,300万ドルで、GSP制度の対象国の中で最も額が大きく、米国の対インド輸入額の11.8%を占めている。品目別では、核酸およびその塩ならびにその他の複素環式化合物、自動車部品および付属品、ステンレス製食卓用品、台所用品、その他の家庭用品およびその部分品などでの利用額が大きい。また、2017年のトルコからのGSPを利用した輸入額は約17億3,700万ドルで、米国の対トルコ輸入額の17.5%を占めている。品目別では、自動車・同部品、宝石、貴金属、石製品などでの利用額が大きい。

(注)GSPとは、開発途上国・地域の経済発展を促すことを目的に、これらの国からの米国への輸入にかかる関税を一部免除する制度。GSP対象国・地域は、米国際貿易委員会(ITC)の米国関税率表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます外部の注釈4(General Note4)に記載がある。4(a)ではGSP対象国・地域、4(b)では後発開発途上国、4(d)ではGSP対象外となる品目と原産国・地域のリストを掲載している。GSP税率は、「特別税率(Rate of Duty:Special)」欄の特別プログラム表示(SPI)が「A」「A+」「A*」の3種類で表示されているものに該当。

  • 「A」:全GSP対象国・地域
  • 「A+」:後発開発途上国からの輸入製品が対象
  • 「A*」:GSP対象国・地域のうち、4(d)に掲載されている品目と原産国・地域を特恵の対象外としている

(須貝智也)

(米国)

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