EU初となる対内直接投資審査規則が4月発効へ

(EU)

ブリュッセル発

2019年03月06日

EU理事会は3月5日、対内直接投資の審査(スクリーニング)に関わる規則案(2019年2月15日記事参照)を承認した。同規則は3月21日付のEU官報に掲載される見通しで、掲載日から20日後にEU規則として発効する。適用開始は、発効日の18カ月後となる予定だ。

投資立地としての競争力と戦略産業保護の両立を目指す

EUが域外・第三国からの対内直接投資について、包括的なスクリーニング制度を導入するのは初めてとなる。EUは同規則を通じて、国家安全保障や公的秩序の視点で、厳格に対内直接投資(企業買収など)の是非を判断する方針だ。EUとしては、今後も外国投資について開かれた立地であることを目指すとしているが、今回の規則導入を通じて、EU域内の戦略産業部門の保護と両立させる意義も強調している。

また、欧州委員会によると、EU加盟国レベルで、何らかの対内直接投資に対する審査制度を導入している国は現時点で14カ国に上るという。このため、今回の規則では、欧州委とEU加盟国が連携を強化し、当該投資事案の是非を判断するための情報共有など、EUと加盟国の協力体制の構築に主眼が置かれている。今回の発表でも、EUは当該投資事案についての最終的な許認可権限(国家安全保障や公的秩序を事由として、当該投資事案を拒否する権限)はEU加盟国に帰属する点を強調している。

こうした事情もあり、欧州委が「意見」を提示することについては、当該投資事案が複数国にまたがって国家安全保障や公的秩序上の懸念を生じさせる場合や、EU全体の利益として進めている研究開発支援枠組み「ホライゾン2020」、欧州衛星測位システム「ガリレオ」に影響する場合に限られるとしている。

(前田篤穂)

(EU)

ビジネス短信 15c51d1887e10bad