2018年度米国進出日系企業調査、営業黒字を見込む企業は7年連続で7割超

(米国)

米州課

2019年02月06日

ジェトロが201811月から12月に実施し、26日に公表した「2018年度米国進出日系企業実態調査」によると、2018年は回答企業の74.5%が黒字を見込んでいる。営業黒字を見込む企業の割合が7割を超えたのはこれで7年連続となり、調査史上最長を更新した。また、過去1年間に現地従業員を増やしたと回答した企業も7年連続で4割を超えた。2019年の景況感を示すDI値(前期と比較した営業利益の「改善」-「悪化」)は、「改善」を見込む企業は半数近く(45.1%)あり、DI値も32.0ポイントと大きく上向くなど、業績改善を見込む企業が多い(添付資料図1参照)。

日系製造業の生産、販売状況や今後の方針をみると、前回の結果から大きな変化はなく、NAFTA地域を中心とする「地産地消」のトレンドは継続(添付資料図2参照)している。一方、中国からの調達を減らす企業は37.5%と前回から大幅に増え、代わってASEAN8.4ポイント増加した。

今後の事業展開としては、回答企業の54.2%が今後12年内の事業拡大を視野に入れる。今回初めてICT分野の活用状況を聞いたところ、「スマートフォンやタブレット端末の導入」をしている企業が71.7%で最多で、「クラウドサービス」が50.9%で続いた。「IoTM2Mソリューション」や「人工知能(AI)」について将来的に活用を検討しているという回答は30%を超え、今後拡大が期待される分野となった。

「労働者の確保」や「賃金の上昇」がコスト上昇要因の上位

コスト上昇要因となる経営上の課題については、「労働者の確保」が69.0%で最大要因となり、「賃金の上昇」(65.6%)、「労働者の定着率」(46.3%)が上位を占めた。これに、貿易制限措置による「関税引き上げがコスト上昇となる」(44.7%)が続いた(添付資料図3参照)。

NAFTAに代わる米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA、新NAFTA)の総合的な影響については、「影響はない」と回答した割合は半数を超え(51.4%)、「分からない」が35.0%で続いた(添付資料図4参照)。USMCAへの対策では、「何も変更しない」(56.4%)、「分からない」が(28.4%)となり、対応はこれからという企業が大半を占めた。具体的な対策を講じる中では、「販売価格の引き上げ」(11.0%)が最も高かった。

トランプ政権の政策に対する関心分野を聞いたところ、「通商」(81.3%)、「税制」(66.8%)が上位に挙がった(添付資料図5参照)。通商の中では「追加関税」(73.9%)への関心が最も高く、「USMCA」と「日米貿易交渉」が続いた。税制改革法案全般については、「プラスの影響」と回答した企業が4割を超え、税別では「連邦法人税の減税によるプラスの影響」(60.8%)が最多だった。調査結果の概要はジェトロの「2018年度米国進出日系企業実態調査」(2019年2月)で閲覧できる。

(野口真緒)

(米国)

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