ブレグジット合意案の英議会採決は2月下旬に

(英国、EU)

ロンドン発

2019年02月13日

テレーザ・メイ首相は2月12日、議会で英国のEU離脱(ブレグジット)をめぐる政府方針について演説した。1月29日の新方針採決後の答弁で明言した2月14日の採決(2019年1月30日記事参照)は予定どおり実施するものの、採決に付す動議の内容は、アイルランド・北アイルランド間のバックストップの変更を支持するという先に可決された修正案(2019年1月30日記事参照)を再確認し、EUとの交渉継続を認めるものとなるもよう。

その上でメイ首相は、EUとの協議を継続し、新たな合意に達し次第、あらためて離脱協定と政治宣言から成るブレグジット合意案に対する議会採決を行うことを明言。また、議会承認を得られない場合、2月26日には新たな政府方針を提示し、翌27日に同方針に対する修正可能な動議の採決を行うこととした。1月29日の議会では僅差で否決された、離脱日の延期に道を開く修正案などは、下旬の採決で集中的に取り扱われることになるとみられる。

メイ首相は演説の中で、EUに対して法的拘束力のあるバックストップの変更を引き続き求める意向を強調。そのための手段として、(1)バックストップを別の仕組みに置き換えること、(2)既存のバックストップ案に法的拘束力のある期限を設けること、(3)英国がバックストップ条項から一方的に離脱することを法的に確約することの3つを挙げ、前週の欧州委員会のジャン=クロード・ユンケル委員長、欧州理事会のドナルド・トゥスク常任議長、欧州議会のアントニオ・タイヤーニ議長らとの相次ぐ会談での提示内容を明らかにした。そのうちの1案は、1月下旬から保守党内のEU離脱強硬派と親EU派が協議を始めた妥協案を原案とするもので、スチーブン・バークレーEU離脱担当相を取りまとめ役とする「代替策作業部会」で検討が続けられている。

しかし、EU首脳らは英国との協議継続は表明しているものの、バックストップを含む離脱協定案の再交渉は重ねて否定している(2019年2月8日記事参照)。協議の難航は避けられそうにない。

メイ首相の演説を受け、英国小規模事業者連盟(FSB)のマイク・チェリー会長は声明を発表。「EUとの再交渉のためにさらに2週間の時間を求めるというのは、企業活動における不確実性と政治のまひ状態を一層悪化させるのと同じことだ」と述べ、政府を強く非難。今なお先行きが見えない状況にいら立ちを募らせている。

(宮崎拓)

(英国、EU)

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