メイ首相、離脱延期案を退けEUとの再交渉へ

(英国、EU)

ロンドン発

2019年01月30日

英国議会で1月29日、英国のEU離脱(ブレグジット)をめぐる政府の新方針について、審議と修正案の採決が行われた。修正案は可決されても法的拘束力を持たないが、今後のブレグジットの行方を左右するとして注目されていた(2019年1月22日記事参照)。

15の修正案の中から、議長権限で選定された7つが採決された。この結果、合意なき離脱(ノー・ディール)回避を求める案(表の6)と、アイルランドと北アイルランド間のバックストップの変更を求める案(表の7)が賛成多数で可決。交渉の主導権を議会が握る修正案(表の3、4)は、可決の可能性が高いとの予想も多かったが、いずれも否決された。

表 修正案の採決結果

メイ首相は採決後の議会での声明で、ノー・ディール回避を求める案について「合意なしに離脱すべきでないことに賛成する。しかし、単にノー・ディールに反対するだけでは、これを止めることはできない」と述べ、議会が合意に賛成することが必要とする従来の主張を維持した。首相は、バックストップ変更が議会の総意であることをEUに示し、離脱協定のバックストップ案変更に向けたEUとの再交渉に臨む。

しかし、EU側は一貫して離脱協定の再交渉を否定しており、状況は極めて厳しい。離脱まで2カ月を切った中、EUから最後の譲歩を引き出せるかが焦点となる。

(宮崎拓)

(英国、EU)

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