中・東欧で高い賃金上昇率、ジェトロ投資コスト調査

(EU、欧州)

欧州ロシアCIS課

2019年02月01日

ジェトロは欧州主要地域19カ国・21都市を対象に賃金、地価、公共料金、税制などの投資関連コストを調査し、1月25日に取りまとめた。

2017年の名目賃金上昇率は、西欧(10カ国・10都市)では、バルセロナ(スペイン)の0.2%からストックホルム(スウェーデン)の2.5%までばらつきがあるものの、全都市で上昇率がプラスとなった。前年はバルセロナとブリュッセル(ベルギー)でマイナスだった。中・東欧(7カ国・7都市)では、いずれも西欧で最大の上昇率のストックホルムを大きく上回る上昇率を記録し、中でもブカレスト(ルーマニア)は14.7%と前年に続き最も高く、ブダペスト(ハンガリー)やソフィア(ブルガリア)でも10%を上回った。中・東欧は、これまで西欧市場への製造拠点として発展してきたが、近年では欧州の景気回復や安定した経済成長の下、失業率がEU平均(6.9%、2018年予測)を大きく下回る状態にあり、人材不足も相まって、賃金上昇率は全体的に前年より上回った。

他方、賃金水準は西欧と中・東欧では依然として差が大きい。2018年のワーカー月額賃金で見ると、西欧ではジュネーブ(スイス)が6,391ユーロと群を抜いて高く、その他の都市では2,000~3,000ユーロ台だった。中・東欧では、1,375ユーロと最も高かったプラハ(チェコ)を除いて、1,000ユーロ未満だった。

税制については、一部の国で引き下げが実施されている。フランスでは2017年以降、33.3%の法人所得税を段階的に引き下げているが、2018年は基本税率を33.3%に据え置きながら、課税対象利益50万ユーロまでの税率を28%に引き下げた。スウェーデンでも22%の法人所得税を2019年1月から21.4%とした。

ジェトロのウェブサイトでは、全世界の国・都市で実施した投資関連コスト2018年度に欧州・ロシア・CIS地域で実施した調査のレポートを掲載している。

(鷲澤純)

(EU、欧州)

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