2019年の域内経済成長は減速へ、世界銀行が経済見通し

(ロシア、CIS)

欧州ロシアCIS課

2019年01月09日

世界銀行は1月8日、ロシアCIS地域を含む2019年世界経済見通しを発表した。ロシアの2018年の実質GDP成長率については1.6%(推計値)、2019年の予測値を1.5%とし、2019年はほぼ前年並みの伸びとなる見方を示した(添付資料参照)。欧州CIS地域(ウクライナ、ベラルーシ、モルドバ)の2019年のGDP成長率予想は、いずれも前年(2018年)を下回る予想となった。中央アジア地域(ウズベキスタン、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタン)については、ほぼ2018年と同じGDP成長率を想定している。コーカサス地域(アゼルバイジャン、アルメニア、ジョージア)については、アゼルバイジャンが2015年の資源価格下落で受けた打撃から回復し2019年に3.6%の経済成長率が見込まれることから、地域全体では2019年のGDP成長率は前年比1.5ポイント増の4.0%となっている。

世界銀行の経済見通しでは、(ロシアCIS地域の)ロシアをはじめとする産油国における2018年の経済成長の要因として、原油価格の上昇を挙げた。また、ロシアでは低率かつ安定的なインフレと原油生産の増加、カザフスタンではカシャガン油田での想定を上回る原油生産と強い国内需要、アゼルバイジャンでは金融分野での安定化などが、それぞれ各産油国の経済成長を後押しした。

2019年には、ロシアで付加価値税(VAT)の引き上げが実施され、カザフスタンでは原油生産の減少などが想定されるなど、地域としての経済成長は減速するとの見方を示した。また、経済発展を阻害するリスクとしては、外貨建て債務などの増加による金融面の脆弱(ぜいじゃく)性(ベラルーシ、中央アジア諸国)、構造改革の停滞・逆行(アルメニア、アゼルバイジャン、ベラルーシ、ウクライナ)、(経済構造改革の支援ドナーである)EUとの政策の方向性不一致による海外からの投資減少(中央アジア諸国)、トルコ経済の混乱・減速の波及(アゼルバイジャン)などを挙げている。

(高橋淳)

(ロシア、CIS)

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