2018年のCPI上昇率4.3%、2019年はインフレが一時的に加速か

(ロシア)

欧州ロシアCIS課

2019年01月16日

ロシア連邦国家統計局は1月10日、2018年通年の消費者物価指数(CPI)上昇率の確定値を4.3%と発表した(図参照)。2018年末時点の速報値4.2%がわずかに上方修正され、中央銀行の予測幅3.9~4.2%を上回る結果となった。ロシア移行後のCPI上昇率としては、最低水準だった2017年の2.5%より加速している。

図 消費者物価指数(CPI)上昇率の推移

食品の物価指数上昇率では鶏卵が25.9%、砂糖(グラニュー糖)28.3%、非食品部門ではたばこ製品が10.1%、自動車ガソリン9.4%と上昇幅が大きかった。国内のガソリン価格は、2018年上半期に原油価格上昇、通貨ルーブル安の進行、物品税の引き上げといった要因により高騰が続いていた。

プーチン大統領は2018年5月に発表した2024年までの内政目標(マイスキー・ウカス)の中で、インフレ率を4%以下に抑える目標を設定しているが、2019年は1月からの付加価値税(VAT)税率引き上げ(2018年8月6日記事参照)に伴い、一時的にインフレが加速するとみられている。2019年の中銀のインフレ率予測は5.0~5.5%で、2020年はターゲット値の4%水準に落ち着くと予想されている(2018年12月18日記事参照)。

プーチン大統領は、インフレ率を上回る年金支給額の伸びを国民に約束している。政府は年金基金の財政を将来にわたり確保するため、2018年6月に年金支給開始年齢の繰り下げの方針を決め(2018年6月15日記事参照)、関連法令を成立させた(2018年10月15日記事参照)。また、「国民への質の高い住居の提供」も同じく政権の重要な目標となっており、そのためには低率の住宅ローンの維持が不可欠だ。政権約束の維持には、インフレの抑制が重要となる。

(市谷恵子、高橋淳)

(ロシア)

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