2018年の自動車販売は2年連続の減少、小型車の不振が主要因

(メキシコ)

メキシコ発

2019年01月23日

国立統計地理情報院(INEGI)の2018年通年の自動車(大型バス・トラックを除く)の生産・輸出・販売統計の発表(1月10日、2019年1月23日記事参照)によると、自動車販売台数は前年比7.1%減の142万1,458台となり、前年に続き2年連続の減少となった。企業別にみると、50年以上の歴史を持ち、以前はビッグファイブと称されていたゼネラルモーターズ(GM)、フォード、フィアットクライスラー・オートモービルズ(FCA)、日産、フォルクスワーゲン(VW)の5社の販売が軒並み大幅減となった。他方、現代・起亜、トヨタ、マツダ、スズキなど日系・韓国系企業や、BMW、メルセデスベンツ(ダイムラー)といった高級車メーカーの販売が伸びた(表参照)。

表 メキシコの企業別自動車(大型バス・トラック除く)販売台数(1~12月)

ビッグファイブの販売減の要因は、得意とする大衆向け小型車のセグメントの不振による。サブコンパクト部門(1.5リットル前後の小型車)は前年比11.6%減、コンパクト部門(1.8リットル前後の小型車)は8.8%減と低迷している。大衆車の販売不振の背景には、通貨ペソの対ドル為替レートの下落や、インフレの進行を抑えるために政府がここ数年政策金利を引き上げてきたことがある。政策金利は2018年末までに8.25%に達し、自動車ローンの金利も上昇傾向にある(図1参照)。これがローン販売への依存度が高い中間層の購入意欲をそいでいる。2018年1~11月の国内販売に占めるローン販売の比率は68.2%に達しており、ローン販売の減少が国内販売全体を押し下げている(図2参照)。

図1 インフレ、金利、期中平均為替レートの推移
図2 自動車ローンを利用した国内販売台数の推移

為替レート下落や中古車輸入増加の影響も

国内販売不振の背景には為替レートの下落もある。国内販売台数に占める国産車の比率は2017年の40.8%から34.6%に低下し、輸入車販売の比率が高まっているため、為替レート下落の影響をより受けやすい環境となっている。さらに、2017年まで低下傾向にあった中古車輸入が2018年に再び増加し、安価な中古車の流入が新車市場に影響を与えている可能性もある。メキシコは北米自由貿易協定(NAFTA)の規定に基づき米国、カナダ製の中古車輸入を2005年より解禁しており、一時(2006年)は中古車輸入が年間150万台に及んだ年もあったが、2015年以降2017年までは安全面・環境面に配慮した輸入規制の執行強化により、中古車輸入を抑えることに成功していた。2018年は11月までに13万台に達し、既に前年の中古車輸入台数を超えている(図3参照)。

図3 新車販売と中古車輸入の推移

(中畑貴雄)

(メキシコ)

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