2018年の港湾貨物総取扱量は3.8%増加

(ロシア)

サンクトペテルブルク発

2019年01月25日

ロシア海洋商業港協会の発表(1月15日)によると、2018年のロシアの港湾貨物総取扱量は前年比で3.8%増の8億1,650万トンとなった。

内訳は、ドライ貨物が3億8,740万トン(前年比3.8%増)、液体貨物が4億2,910万トン(3.9%増)となった。製品別では、原油が2億5,540万トン(1.2%増)、石炭が1億6,140万トン(4.4%増)、石油関連製品が1億4,510万トン(2.4%増)でエネルギー関連貨物が上位を占めた。また伸び率では、2,320万トンの液化ガスが前年の1.6倍と大きく伸びた。

地域別の取扱量の上位では、アゾフ・黒海域港湾が2億7,220万トン(前年比0.9%増)、バルト海域港湾が2億4,630万トン(0.5%減)、極東地域港湾の2億50万トン(4.5%増)と続く。顕著な伸びを示したのは北極海地域港湾の9,270万トンで、前年より26.4%増加した。特に、同港湾での液体貨物取扱量は41.0%の伸びとなった。この背景には、2017年12月のヤマルLNG(液化天然ガス)事業の出荷開始などがあるとみられる。さらに、北極海航路の輸送量を2024年末までに8倍にする目標を掲げたロシア政府が北極海地域の港湾整備を進めていること(2018年10月17日記事参照)、また2018年12月にはヤマルLNGが全面稼働した(2018年12月12日記事参照)ことから、今後は北極海地域港湾の貨物取扱量が一層増加するとみられる。

多くの地域で取扱量が前年を上回った一方で、バルト海域港湾の取扱量は前年を下回った。ビジネス紙「実業ペテルブルク」(1月14日)によると、原油や石油製品に特化したプリモルスク港(レニングラード州)の取扱量が減少しており、同港の取扱量は前年比7.1%減の5,350万トンとなった。

2019年の海上輸送の見通しについて、物流企業アリビストのキリル・アレクサンドロフ開発投資部長は、輸入代替に伴う輸出入のアンバランス(輸入の減少により、相対的に輸出が増加)が海上輸送料金に引き続き影響(コスト増)を及ぼすと指摘した上で、「2020年からの舶用燃料の硫黄濃度規制強化により、規制対応のためのコストが輸送料金に跳ね返り、海上輸送から鉄道輸送などの別の手段へのシフトも起こるだろう」と予測している(「実業ペテルブルク」1月14日)。

(一瀬友太)

(ロシア)

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