北極海航路の輸送量を2024年末までに8倍に拡大

(ロシア)

欧州ロシアCIS課

2018年10月17日

ロシア政府は2024年末までに、北極海航路の輸送量を現状(2018年1月時点)の990万トンの8倍となる8,000万トンに引き上げる。目標の達成に向け政府予算と民間資金を活用し関連港湾の整備などを進める予定だ。

目標が記載されたのは政府指示第2101号-r(9月30日付)「2024年までの基幹インフラの近代化と拡大の複合計画」。5月にプーチン大統領が打ち出した2024年までの内政目標(2018年5月8日記事参照)を受け、連邦政府が策定した活動基本計画(2018年10月3日記事参照)に基づく輸送・エネルギー分野のインフラ整備計画となる。

計画では、北極海航路の輸送量増加に向け港湾建設と関連設備の整備を図る(添付資料参照)。港湾建設は、ムルマンスク港の石炭ターミナル「ラブナ」の建設(実施期間2018~2022年、2018年10月12日記事参照)、クラスノヤルスク地方ディクソン港の石炭ターミナルおよび同地方カラウル近郊の原油輸出ターミナル(タナラウ)の建設・修復(2019~2021年)が予定されている。港湾関連設備の整備は、海洋通信システムの導入、船舶の安全航行・非常事態時の対策・設備導入などが予定されている。大規模な液化天然ガス(LNG)事業が行われているヤマル半島では、LNG輸出基地のサベッタ港の設備整備・増設に加え、同港からの年間輸出を実現するため、LNGを燃料とする砕氷船を2019~2024年の間に4隻建設する。

計画実行に向け2019~2024年の間に支出される総事業費は5,874億5,136万ルーブル(約9,986億6,700万円、1ルーブル=約1.7円)で、うち政府予算は約45%の2,658億8,479万ルーブル、同予算外(民間資金など)は残りの3,215億6,657万ルーブルとされている。

(高橋淳)

(ロシア)

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