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極東研究の第一人者、「知事は住民利益の代弁を」

(ロシア)

欧州ロシアCIS課

2019年01月22日

2018年の選挙で現職知事が苦戦を強いられたロシア極東。ロシア極東経済研究の第一人者で、ロシア科学アカデミー極東支部経済研究所(在ハバロフスク)で学術代表を務めるパベル・ミナキル氏(注)は、ジェトロのインタビューに対し、連邦政府による極東振興策が住民の生活水準向上に広く結び付いていないことが問題の背景と指摘した。

(問)2018年の重要な出来事として、沿海地方とハバロフスク地方の知事選(2018年11月15日記事参照)がある。

(答)現在、ロシアの知事は2つの性格を持っている。1つ目はモスクワ(大統領、連邦政府)の指示を実行するテクノクラート(官僚)としての側面。2つ目は住民の利益を代弁・実現する代表者としての役割だ。近年の地方知事の役割には、前者の傾向が強い。連邦政府が極東振興を声高に唱えているにもかかわらず、極東の2つの中心的な構成体の知事選で住民が現職から離反した背景には、極東振興政策の中でさまざまな生活環境向上への約束がなされているが、住民が直接的に実感できていないこと、そして知事は連邦政府を見て地元を見ていないと住民が強く感じていたことがある。ロシア極東の住民は生活水準が向上しないことに長い間耐えてきたし、これからも耐えるだろうが、公に約束されたことが反故(ほご)にされることには我慢ができない。ハバロフスク知事選では、ビチェスラフ・シポルト前知事が何度も振興について言及していた産業都市コムソモリスク・ナ・アムーレ(2017年9月20日記事参照)ですら、同前知事への支持が少なかったこともこれを裏付けている。住民が求めているのは、大企業へのてこ入れや最先端技術の導入より、最寄りの診療所での順番待ちの長い列の解消や、教育の場での子供の待遇格差の是正など、住民が今まであえて目をつぶっていた社会のゆがみを正すことだ。また、ソーシャルメディアの発達で情報が瞬時に広範囲に伝わりやすくなったことも、約束されたことに実行が伴わない場合に不満が一層高まる1つの要因だろう。

(問)2019年のロシア極東経済、注目すべきポイントは。

(答)(日ロ両国の最近の政治的な動きを除いて)純粋な経済的な観点からすると、極東経済の発展に関し特効薬はない。2018年と同じ漸進的な動きになるだろう。あえて注目点を挙げると、極東の連邦構成体が抱える地方債務だ。資源分野からの税収があるサハリン州、連邦政府から財政支援を受ける沿海地方は別として、ハバロフスク地方をはじめとする各構成体では地方債務が累積している。今までは連邦政府による支援、もしくはあえて連邦政府が問題化することはなかったが、連邦と地方の関係が変わるなかで今後問題がクローズアップされる可能性がある。2019年9月にはサハリン州で知事選が予定されているが、同州の豊富な税収構造などを踏まえると、2018年のような(大統領が任命した知事代行が苦戦・敗北)状況が発生するとは想定しにくい。

(注)1991年から2016年までロシア科学アカデミー極東支部経済研究所所長。2017年からは同研究所学術代表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(研究部門統括)。2006年からロシア科学アカデミー正会員。インタビューは1月16日に実施した。

(高橋淳)

(ロシア)

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