地方選挙でプーチン政権に逆風続く、沿海地方でも12月に知事選

(ロシア)

欧州ロシアCIS課

2018年11月15日

ロシア・シベリア連邦管区のハカシア共和国で11月11日、共和国首長選挙の第2回投票が実施され、野党・共産党のワレンチン・コノワノフ氏が勝利した。12月には沿海地方ウラジオストクで知事選挙の再投票が予定され、プーチン政権に厳しい選挙戦となっている。

ハカシア共和国では9月9日の統一地方選挙(第1回投票)で、現職首長(当時)で与党・統一ロシアから立候補したビクトル・ジミン氏が、コノワノフ氏に得票率で12ポイント以上の差をつけられ敗北した。立候補者全員の得票率が過半数に達せず、再選挙となったが、ジミン氏と、10月3日にプーチン大統領から首長代行に任命されたミハイル・ラスボジャエフ氏が第2回選挙に出ず、同選挙の立候補者はコノワノフ氏1人となっていた。11月11日の信任投票で、同氏は57.57%の得票率で当選した(反対票は41.16%)。同氏は1987年11月生まれの30歳。

9月9日の統一地方選では22の連邦構成体での知事・首長選が行われ、ハカシア以外でも中央管区のウラジミル州、極東のハバロフスク地方で現職知事や与党候補が敗れる波乱が起きている。同じく極東の沿海地方では、実質第3回目となる選挙(2018年9月21日記事参照)を12月16日に控え、サハリン州知事から転任したオレグ・コジェミャコ知事代行(2018年9月28日記事参照)が巻き返しを図っている。極東連邦大学太平洋・アジア学部のビクトル・ブルラコフ教授(政治学)はジェトロのインタビューに対し、9月に2回行われた沿海地方知事選挙の結果について、現職知事(当時)のアンドレイ・タラセンコ氏の得票低迷の要因を、a.同氏のマスコミへの露出度の低さ、b.選挙対策陣営の票の読み違え、c.年金改革(2018年8月30日記事参照)などへの住民の反発、と分析。また、連邦政府は極東開発を政策の中心に据えるが、ウラジオストク市民は具体的な恩恵を感じておらず、住民は野党候補への投票というかたちで政権への抗議姿勢を表している、と述べている。さらに、コジェミャコ知事代行が12月の選挙までにウラジオストクでどの程度具体的な成果を出せるかがカギとして、引き続き行政運営に市民の厳しい目が注がれていることを指摘している。

(高橋淳)

(ロシア)

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