技術者派遣時のFBL取得に必要な事務所開設の留意点

(タイ)

バンコク発

2019年01月09日

日本から有償でタイの生産拠点に技術者を派遣する場合、外国人事業法(FBA:Foreign Business Act)にある外国人事業ライセンス(FBL:Foreign Business License)が必要だ(2018年12月12日記事参照)。そのFBL取得には事務所を開設しなければならないが、これに関して、商務省事業開発局(DBD:Department of Business Development)に加え、入局管理局にもヒアリングをした内容をまとめた(2018年12月26日)。概要は次のとおり。

(問)FBL取得要件である事務所開設の具体的なイメージ、タイ人雇用義務の具体的な内容は。

(答)FBL取得要件の事務所開設とは、支店開設を意味する。タイ人雇用義務は会社設立、駐在員事務所設立と同様に、派遣される技術者が取得したビザ(注1)をタイで更新する際に発生する。なお、第三国でビザを取り直した場合、この義務は発生しない(注2)。雇用義務人数は、タイでビザを更新する技術者の人数と同数で、タイ人は支店の雇用、派遣される技術者は派遣元の雇用という扱いとなる。

(問)FBL申請に際し、DBDに「タイ国内でビジネスを行う外国法人の会計帳簿および帳簿記載必要書類の保管場所報告フォーム」の提出は必要か。

(答)FBLを取得する場合は不要だが、タイ政府および、タイ政府が50%以上出資する企業向けであれば、FBLが免除となり、その場合は当該書類が必要となる。

(問)FBL取得のために開設された支店は、日本にある本社が持つタイ国内の恒久的施設(PE)と見なされ、法人税の申告・納税義務を負うか。

(答)支店はPE扱いとなり、タイで銀行口座を開設の上、毎年決算を行う必要がある。納税義務も生じる。

(問)技術支援が一段落した段階で支店を閉鎖した後、再度支援を行う必要が生じた場合、FBL申請は必要か。

(答)支店を一度閉鎖した場合は、同様の案件であってもFBLを再度申請する必要がある。ただし、技術者が帰国しても支店を閉鎖しなくてもよく、技術者の帰国に伴ってタイ人雇用義務も消滅するので、支店を事実上休眠会社化し、将来の再出張に備えることも可能だ。ただし、決算を行う必要があり、それにかかる経費は発生する。

(問)支店開設に際し、日本からの送金義務はあるか。

(答)支店の3年間の経費総額の25%か、300万バーツ(約1,020万円、1バーツ=約3.4円)のどちらか高い方を支店に送金しなければならない。

(注1)タイへ就労目的で入国する際には、まず在日タイ大使館または領事館で就労査証(ノンイミグラントBビザ:Non Immigrant/Business Visa)を取得する必要があり、滞在可能日数は90日。

(注2)第三国でビザを取り直す場合、当該国のタイ大使館または領事館に要問合せ・申請。

(高谷浩一、ニチャーパッタラ・トーンバニチョノパグン)

(タイ)

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