在ドイツ日系企業は引き続き、好調な業績を維持

(ドイツ)

欧州ロシアCIS課

2019年01月04日

ジェトロが2018年12月11日に発表した「2018年度欧州進出日系企業実態調査」(回答在ドイツ日系企業数:182社、注1)によると、在ドイツ日系企業の2018年の営業利益見込みの「黒字」割合は欧州全体の割合を上回り、業績が引き続き好調なことが明らかになった。

在ドイツ日系企業の2018年の営業利益見込みは、「黒字」の割合が76.1%で、欧州全体の「黒字」回答割合を5年連続で上回った(表1参照)。進出国の景気の現状についても、ドイツでは「良い」(26.1%)と「やや良い」(50.0%)を合わせて、76.1%に上った。

表1 在ドイツ日系企業の営業利益見込みの推移

今後1~2年の事業展開の方向性については、「拡大」と回答した在ドイツ日系企業が111社で61.3%を占めた。「拡大」を選択した企業が具体的にどのような機能を拡大するかについては、81社(74.3%)が「販売」、31社(28.4%)が「生産(高付加価値品)」、23社(21.1%)が「研究開発」と回答した。今後の現地従業員数についても、回答企業の50%に当たる88社が「増加」と回答しており、事業の拡大意欲がうかがえる。

一方、経営上の問題点としては、「人材確保」が最大となった。回答企業の約半数に当たる83社(47.7%)が課題として挙げた。そのうち、どのような人材確保が困難なのかという問いに対しては、「マネージャーなどの管理職」を挙げたのが55社(66.3%)で、「IoT(モノのインターネット)・AI(人工知能)等対応人材」が24社(28.9%)、「工場ワーカー」が23社(27.7%)となった。

英国のEU離脱(ブレグジット)による今後の事業への影響については、「マイナスの影響」があると回答した企業が約3分の1の61社(34.9%)で、「わからない」と回答した企業は73社(41.7%)だった。「英国経済の不振」や「EU拠点から英国への輸出」「英国の規制・法制の変更」がブレグジットに係る懸念点として挙げられた。

ただし、英国が、EUからの合意なき離脱(ノー・ディール)に至った場合に備えた対応策(コンティンジェンシープラン)については、回答した166社のうち「策定済み」「策定中」「策定予定」と回答した企業は合わせて、19社(14.4%)にとどまった(表2参照)。

表2 ノー・ディールのまま英国がEU離脱に至った場合の対応策(コンティンジェンシープラン)の策定状況について

2019年2月に発効する日EU経済連携協定(EPA)については、回答企業の約半分に当たる75社(47.5%)が「メリット大」と回答した。在ドイツ日系企業のうち9割近い企業が日本から輸入をしており、日本からの調達率(単純平均)(注2)は37.9%で、在ドイツ日系企業にとって、日EU・EPAがもたらすメリットは大きい。

(注1)設問によって回答が得られなかった企業もあるため、回答企業数は設問ごとに異なる。

(注2)各企業が回答した金額ベースでの調達先国・地域の割合の単純平均値。

(出沼順子)

(ドイツ)

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