モリソン首相がバヌアツ、フィジーを訪問、太平洋諸国との関係強化へ

(オーストラリア、バヌアツ、フィジー)

シドニー発

2019年01月24日

オーストラリアのスコット・モリソン首相は、1月16~18日にかけて南太平洋の島国バヌアツ、フィジーを訪問した。首相は就任当初から「太平洋諸国は外交政策の中で優先度が高い」と発言するなど、地政学的な重要性からこれら諸国との関係を強化する意欲を示してきた。2018年11月8日には、20億オーストラリア・ドル(約1,560億円、豪ドル、1豪ドル=約78円)規模の「太平洋諸国向け豪州インフラ支援基金」の設立を発表している(2019年1月17日付地域・分析レポート参照)。

バヌアツにインフラ支援を表明

モリソン首相は1月16日、バヌアツのシャーロット・サルウェイ首相と会談した。オーストラリア側は「季節労働者プログラム」や新たな「太平洋労働者スキーム」を通じ、太平洋諸国の労働者に対してオーストラリア国内での雇用機会を提供すると提案。また、インフラ支援基金を通じた公益事業などによる支援の継続、インフラにかかる直接投資を検討していることを表明した。

太平洋諸国の最重点課題である温暖化対策について、両国はオセアニア全体で取り組むことを約束。安全保障問題では、バヌアツは国家安全保障会議(NSC)の設立に向け、オーストラリアからの技術援助を歓迎した。

貿易面では、バヌアツをはじめ太平洋諸国の産品である「カバ」(カバという植物を原料とする飲み物で、向精神作用がある)について、オーストラリア側は輸入規制の緩和を検討するとした。

フィジーで労働者勧誘プログラムを提案

モリソン首相は1月17日、フィジーのジョサイア・ボルケ・バイニマラマ首相と会談した。フィジーからオーストラリアへの労働者勧誘プログラムの導入、大学教員の質を高めるための教育支援、オーストラリアのテレビ番組のフィジーにおける無料配信といったメディア支援などを表明した。

(小柳智美)

(オーストラリア、バヌアツ、フィジー)

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