民間エコノミスト、2019年のGDP成長率をマイナス1.2%と予想

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2018年12月06日

アルゼンチン中央銀行は12月4日、現地の民間エコノミストによる最新の経済見通しの集計値(REM)を発表した。前回(11月2日発表)と比べて、2018年の予想指標では大きな変動がないものの、2019年ではGDP成長率が下方修正された。

発表によると、2018年の消費者物価上昇率の見通しは47.5%と前回値を維持した。また、2019年は27.5%(前回27.8%)で0.3ポイント、2020年については19.2%(19.6%)で0.4ポイント、それぞれ前回の予測を下回った。

外国為替レートの見通しについては、前回は2018年末に1ドル=39.3ペソだったが、今回は39.0ペソとなった。2019年末の見通しは48.5ペソ(前回48.9ペソ)となっている。10月以降、為替バンド制の導入と高金利政策で、一時的に資金流入が活発化した。これにより、為替はペソ高に転じ、バンドの下限値へ近づいた。中銀は、短期的な資金の流入を抑制するため、11月9日に金融機関向けの新たな規制(注)を発表するなどして、ペソの安定を図ってきた。

政策金利に関しては、2018年末で60%(前回65%)と予想されており、前回より5ポイント下回った。なお、2019年末では35%(35%)と予想されている。

GDP成長率の見通しは、2018年が前回に引き続きマイナス2.4%となったが、2019年はマイナス1.2%(前回マイナス1.0%)と前回より0.2ポイント下方修正され、2019年予算書の見通し(マイナス0.5%)を下回る結果となった(2018年11月14日記事参照)。民間エコノミストの見通しは引き続き厳しい一方、アルゼンチン国立銀行のフラガ総裁は現地紙「クラリン」のインタービューで、財政再建に向けた取り組みを外科手術に例えて、「手術は終わった。残るはリハビリだ」とコメント。2019年のGDP成長率が1~2%まで改善する見通しを述べた。

(注)短期的なホットマネーの流入抑制を目的に、中銀は金融機関に対し、海外本支店間の資本調達について、一定割合を中銀に預け入れることを義務付けた。短期の預け入れは金融機関にとってコスト増になる。

(高橋栞里)

(アルゼンチン)

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