新自動車産業政策を発表、計画期間は2021年から2035年まで

(南アフリカ共和国)

ヨハネスブルク発

2018年12月03日

南アフリカ共和国のロブ・デービス貿易産業相は11月23日、2021年から2035年までの自動車産業政策「南ア自動車基本計画2035(SAAM)」を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。政府はGDPの約7%を占める自動車産業を重点産業に位置付けており、2013年から「自動車生産開発プログラム(APDP)」による優遇措置を通じて、同産業の育成を図ってきた(2016年8月9日記事参照)。2020年に失効するAPDPの改正・延長とSAAMの策定に向け、政府と現地生産を行う自動車メーカー7社など産業界との対話、調整が過去数年にわたり続いていた(2017年4月28日記事参照)。

SAAMで定められた主な目標は次のとおり。

  • 2035年までに世界の自動車総生産台数の1%を生産(2017年の年間生産台数約59万台(0.6%)から、140万台に拡大
  • 現地調達比率を現在の39%から60%に引き上げ
  • 自動車産業関連の雇用者を現在の2倍に当たる24万人に
  • 2021年以降も優遇措置の継続を希望する自動車メーカーは、「黒人経済力強化政策(BEE)」レベル4以上の取得が必要

SAAMの発表に併せて、その具体的達成指針となるAPDPの改正・延長も閣議で承認された(添付資料参照)。APDPの代表的な優遇措置である「量産組み立て割引(VAA)」(注)は、2021年から「量産組み立て現地化割引(VALA)」に改正される。現地サプライヤーからの調達を促進し、国内でより多くの付加価値を創出する自動車メーカーを手厚く優遇する内容となる。

SAAMの発表を、産業界は総じて好意的に受け止めている。南アフリカ自動車工業会(NAAMSA)の会長も務める南アフリカトヨタのアンドリュー・カービー社長は「(現地調達率目標の)達成は自動車メーカーにとって簡単ではないが、将来の方向性が示されたことは歓迎」と述べている(「エンジニアリングニュース」紙11月23日)。また、南アフリカ自動車部品工業会(NAACAM)のケン・マナーズ副会長も「政府は国内バリューチェーンの強化の重要性を認識していることを示した」と評価した(同紙)。なお、南アでの新車生産台数は2015年の約61万台をピークに、2017年は約59万台に減少している(2018年4月26日記事参照)。

(注)「量産組み立て割引(VAA:Volume Assembly Allowance)」は、国内で1万台以上生産する自動車メーカーを対象に、部品や完成車などの輸入関税を相殺できるクレジットを政府が発給する優遇措置。

(高橋史)

(南アフリカ共和国)

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