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自動車部門への投資を長期的に支援-南ア貿易産業省高官らが来日、産業政策の展望を語る(1)-

(南アフリカ共和国)

中東アフリカ課

2016年08月09日

 南アフリカ共和国の産業政策立案に携わる貿易産業省の高官らが7月25~29日に来日し、ジェトロが開催した説明会で講演したり、日本政府・関係機関や企業を訪問したりして、自動車とガス産業を中心とした政策見通しについて説明した。その内容を2回に分けて報告する。前編は自動車産業について。

2015年の国内自動車生産は60万台超に>

 来日したエドウィン・リチケン貿易産業省政策顧問は、かつて公共企業相顧問も務めるなど、南アの産業政策に深く関わっている。ジェトロは726日に東京で、同氏を講師に迎え「南アフリカ共和国自動車生産プログラム説明会」を開催し、企業関係者ら約40人が参加した。リチケン氏の講演内容は以下のとおり。

 

 南アの自動車産業の歴史は古い。1924年にフォードが組み立て生産を開始し、1926年にはゼネラルモーターズ(GM)が進出した。現在では世界の自動車メーカー7社が生産活動を行っている(注)。自動車は製造業における最大の部門で、GDP7.2%(2014年)を占めている。2015年の国内自動車生産台数は60万台を突破し、過去最高の615,658台に上った。自動車メーカーによる雇用者数は約3万人。部品メーカーは400社を超え、約8万人を雇用している。

 

 南ア政府は自動車を重点産業と位置付け、2020年までに生産台数を120万台まで拡大することや、現地調達率の向上などを政策目標として、2013年から「自動車生産開発プログラム(APDP)」を実施している。APDPでの主要な優遇措置は次の3点。

 

○量産組み立てに対する優遇措置(VAAVolume Assembly Allowance):年間5万台以上の乗用車を生産する自動車メーカーを対象に、輸入部品の関税を相殺できるクレジットを政府が発給する。クレジットは、国内で生産された乗用車の工場出荷額の18~20%。

○生産インセンティブ(PIProduction Incentive):国内生産に伴う付加価値分の55~50%に相当するクレジットを発給する。クレジットは完成車と部品に対する輸入関税と相殺が可能だ。なお、付加価値は販売価格から原材料価格を差し引いた金額のこと。

○自動車投資スキーム(AISAutomotive Investment Scheme):一定の条件を満たした自動車および部品メーカーの国内投資に対して、投資額の20%に相当する助成金(課税対象)を支給。

 

<委員会を立ち上げ、現行の自動車政策を見直しへ>

 現行のAPDP政策は2020年に失効することから、継続プログラムの内容を検討している。APDPの問題点として、自動車メーカーの販売体系(国内市場向け、輸出向け)の違いを考慮せず、一律に優遇措置を付与していることが挙げられる。

 

 例えば、輸出志向型の自動車メーカーは、国内での生産に対して発給されたクレジットを利用して、部品を無税で輸入している。輸出する際には税金は課されないので、南アに関税収入がもたらされない。にもかかわらず、クレジットの付与をはじめ、多くの優遇措置が与えられている。

 

 さらに、現行のプログラムでは裾野産業の発展が難しい。自動車メーカーは国内生産に対して発給されたクレジットを利用すれば、輸入部品の関税が相殺されることから、あえて現地部品メーカーから調達しようとはしない。また、部品メーカーに対する優遇措置も自動車メーカーと比較して少ないことから、部品メーカーによる投資が進まない。

 

 貿易産業省では、継続プログラムでこうした課題を改善することを目的に、自動車業界の関係者をメンバーとする委員会を立ち上げる予定だ。委員会で、現行の自動車政策の見直しや、世界の自動車生産動向を反映させた政策立案などを進めていく。日本企業にも参加・協力をお願いしたい。南ア政府は今後も、積極的かつ長期的に自動車分野への投資を支援をしていくことをあらためて強調したい。

写真 自動車生産プログラム説明会の様子(ジェトロ撮影)

(注)BMW、フォード、GM、ダイムラー、日産、トヨタ、フォルクスワーゲン。

 

(高崎早和香)

(南アフリカ共和国)

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