オフィス賃料、南部や大都市近郊で上昇続く

(インド)

ムンバイ発

2018年12月27日

米系不動産大手コリアーズ・インターナショナルは11月15日、インド主要地域のオフィス市場レポートを発表した。インドに進出する日系企業の間では、都市部でのオフィス賃料の高さは悩みの種の1つになっている。

添付資料の表1は、インド主要都市の中心ビジネス地域(CBD:Central Business District)にある高級物件(グレードA)の1平方フィート当たりの賃料とその伸び率をまとめたものだ。これによると、ムンバイとデリーでは他都市に比べて賃料は高止まりするものの、2018年度第3四半期(10~12月)の賃料伸び率(対前四半期)は0%となった。一方、ベンガルールでは4.9%の上昇となり、前年同期比では13.6%の上昇を記録している。外資系企業の進出が昨今目覚しいハイデラバードが前年同期比で2.1%の伸びとなった。マハーラーシュトラ州では、ムンバイの伸び率が低かったものの、近郊に日系メーカーも工場を構えるプネでは前年同期比で7%の伸びとなっている。2021年までの伸び率では、既に賃料の高いデリーやグルガオンなど北部や西部ムンバイの伸び率が低い一方で、ベンガルールに加えチェンナイやハイデラバードなど南部は比較的高い伸びが予想されている。

添付資料の表2は、ムンバイとその近郊のオフィス賃料と伸び率についてまとめたもの(同上、グレードA物件内のオフィス)。日系企業の多くは、かつてCBDに当たる市内南部にオフィスを構えていたが、近年ではアンデリ・イースト地区やBKC地区への移転や進出が目立つ。特にBKC地区は、インド準備銀行(中央銀行)や証券委員会が立地し、日系の商社や銀行がオフィスを構えており、賃料が高騰している。日本人学校が立地し、日系企業の駐在員の多くが居住する北部のポワイも高い伸びを見せた。新国際空港やムンバイ湾を結ぶトランス・ハーバー・リンクの完成に期待が寄せられるナビ・ムンバイ地域も高い賃料の伸び率を見せており、今後も需要が伸びることが予想される。ムンバイでは賃料高騰を背景に、コワーキングスペースが複数誕生しており、最近では日系のIT企業がBKC地区のコワーキングスペースにオフィスを開設する動きも見られた。

(比佐建二郎)

(インド)

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