2018年度日系企業調査、日EU・EPA利用では「社内体制の整備」が課題

(欧州)

欧州ロシアCIS課

2018年12月14日

ジェトロが12月11日に発表した「2018年度欧州進出日系企業実態調査」(有効回答763社)によると、2019年早期の発効が期待される日EU経済連携協定(EPA)について、「メリット大」とする回答割合(42.0%)が、前年より12.3ポイント低下した(添付資料の図1参照)。発効が近づくにつれ、「影響がない」(25.3%、前年比6.0ポイント増)ことを認識した企業が増えたことも影響したとみられる。

ただし、在英国を除く在EU企業では、「メリット大」の割合が48.1%となり、前年の水準に近いものとなる。在英日系企業では、この割合が前年比20.0ポイント減の25.1%へ激減しており、英国のEU離脱(ブレグジット)により、メリットを享受できなくなると考える企業が増えたと推察される。

日EU・EPAの利用課題には「サプライヤーなどとの協力体制整備」も

日EU・EPAの利用に当たっての課題として、「社内体制の整備」(47.4%)、「サプライヤー/取引先との協力体制整備(原産地証明書に必要な書類の整備など)」(43.1%)、「自己証明制度の手続き」(34.6%)が挙がり、合意内容の詳細が明らかになり、課題が現実的な問題になりつつあることが見て取れる。

ベトナムからEUへの輸入時のFTA活用に期待高まる

一方、EUが現在、署名に向けて手続きを進めているベトナムとの自由貿易協定(FTA)について、ベトナムからの輸入時に「利用する予定」「利用を検討中」とする回答がそれぞれ40.5%(15社)、32.4%(13社)あり、欧州進出企業の期待が高まっている(添付資料の表参照)。

また、EUが現在交渉中、あるいは英国単独も含めて将来的に交渉の可能性があるFTA/EPAのうち、「メリット大」の割合が大きいのは、「EU米国間の貿易協定」(14.2%)、「EUタイFTA」(13.9%)、「EU・ASEAN・FTA」(13.6%)で、欧州進出日系企業からみて、「日英EPA」(12.2%)や「英国のTPP11参加」(7.7%)の割合はより低い結果となった(添付資料の図2参照)。なお、英国のTPP11〔環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP)〕参加について、「メリット大」と回答した理由に、メンバー国であるベトナムで製造する製品が多いことを挙げた企業がみられた。

(福井崇泰、田中晋)

(欧州)

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