AMLO氏がメキシコ大統領に就任、閣僚人事を発表

(メキシコ)

メキシコ発

2018年12月04日

アンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール(通称:AMLO)氏は12月1日、メキシコの第58代大統領に就任した。就任演説では、「政府の計画を一言で表現してくれといわれれば、汚職と無処罰の撲滅と答える」とクリーンな政治方針を示した。また、「私を一人にしないでほしい。なぜなら、あなたたちなしでは私は価値がない。私はメキシコ国民のものだ」と語り、引き続き国民の声を聞く姿勢をみせた。演説の主要な内容は表1のとおり。

表1 就任演説での主要な内容

AMLO氏の就任に伴い、閣僚人事も発表された(表2参照)。大蔵公債相には、カルロス・マヌエル・ウルスア・マシアス氏が就任した。元メキシコ市財務長官で、米ウィスコンシン大学経済学博士号を持つ。また経済相には、同じく米ハーバード大学経済学博士号を持つ、グラシエラ・マルケス・コリン氏を据えた。メキシコ国内の大学教授を務めたほか、シカゴ大学の客員教授などの経歴を持つが、政治経験は乏しい。このほか、外相には、2006~2012年にメキシコ市長を務め、AMLO氏がメキシコ市長を務めていた当時、社会開発局長、警察庁長官を歴任したマルセロ・ルイス・エブラル・カサウボン氏が就任した。内相には元国家最高司法裁判所判事のオルガ・サンチェス・コルデロ氏、エネルギー相にはサカテカス自治大学卒でメキシコ石油公社(PEMEX)出身のノルマ・ロシオ・ナレ・ガルシア氏が就いた。

表2 主要閣僚の顔ぶれ

日本の経団連に相当する企業家調整評議会(CCE)のフアン・パブロ・カスタニョン会長は「AMLO大統領が多くの成功を手にすることを望む。民間企業としては、メキシコ国民にとって良い機会が創出されるためなら、確実性、信頼や法律の順守の下で喜んで大統領とともに仕事をしたい。意見が同じ時には後押しするし、異なる時には指摘するだろう」とコメントした(「エル・フィナンシエロ」紙12月1日)。また、メキシコを代表する実業家のカルロス・スリム氏は、AMLO氏の大統領就任を祝福しながらも、「未来に対する長期的な視点が欠けている」とし、新空港建設中止(2018年11月1日記事参照)などのプロジェクトの中止については、「国民が望んでいるのは効率的に資源を活用することだ」と指摘した(「ラ・ベルダ」紙12月1日)。

(岩田理)

(メキシコ)

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