日本とイタリア製厚中板のAD調査が仮決定、暫定課税は見送り

(メキシコ)

メキシコ発

2018年12月21日

メキシコ経済省は12月19日、2017年11月から開始しているイタリアおよび日本を原産国とする厚中板などに対するアンチダンピング(AD)調査(2017年11月24日記事参照)の仮決定文書を官報公示した。

官報公示された経済省国際通商措置ユニット(UPCI)の文書によると、ダンピング輸入の調査対象期間として設定された2016年5月1日~2017年4月30日に、イタリアと日本からの厚中板などの輸入が不当に低い価格で行われ、メキシコ国内の同種産品の生産活動に悪影響を与えたことを示唆する要素が存在することを経済省は認めたが、AD税の課税については格段の注意を払って調査、決定する必要があるとし、現時点の暫定AD税の課税は見送った。

従って、今後も調査を継続し、最終決定がされる段階で、AD税を賦課するかどうかが決定される。WTOのアンチダンピング協定の5.10は、AD調査を開始後18カ月以内に完結させなければならないと規定しているため、2019年の5月半ばまでには結論が出されるものとみられる。

また、日本の鉄鋼メーカーや在メキシコ日系商社の主張に基づき、メキシコのAD調査申請者であるアルトス・オルノス・デ・メヒコ(Altos Hornos de Mexico:AHMSA)がメキシコで製造できない厚中板があることを認め、以下を暫定的にAD調査の対象から除外した(仮決定文書126.)。

  1. 幅が120インチを超える厚中板(3,048~3,050ミリ)
  2. 幅が3,048ミリ以下の厚中板だが、API 5LB X-70の規格に基づき、本仮決定文書の108.のb)に記載されている化学構成および試験結果を有するもの
  3. 耐摩耗性などを施すための熱処理(焼き入れ、焼き戻し)がされたもの、および焼きならしがされたもので厚さが2インチを超えるもの

利害関係者は再度の意見書提出が可能に

仮決定文書の535.によると、本件についての利害関係者(AD調査申請者、輸入業者、輸出業者など)で今回の調査プロセスへの参加が認められている者は、本仮決定の官報公示(12月19日)から20営業日以内に、経済省のUPCIに再度、意見書を根拠書類などとともに提出することができる。

(中畑貴雄)

(メキシコ)

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