西部4州投資誘致セミナー、担当者と日系企業が直接交流

(米国)

ロサンゼルス発

2018年12月10日

ジェトロが11月27日にロサンゼルスで開催した、アリゾナ州、コロラド州、ニューメキシコ州、ユタ州の米国西部4州の投資誘致担当者を招いたビジネスセミナー報告の後編(2018年12月7日記事参照)。

セミナーでは、ニューメキシコ州経済開発室外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますのマーク・ローパー氏は、同州がフリーウエー(高速道路)や米国の大規模港湾につながる鉄道(BNSF、UP)によって全米にアクセスしやすいこと、メキシコ国境に隣接していることから特に同国との貿易拠点として好立地であることを説明した。また、イスラエルのプラスチック製造業のケーターが、原材料運搬に鉄道を活用するために進出した事例などを紹介した。さらに、同州では在庫税(Inventory Tax)がかからないため、同州の倉庫を有効活用している企業が多いことも説明した。

ユタ州経済開発知事室外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますのトーマス・ワズワース氏は、同州では金融、IT・ソフトウエア、ライフサイエンス、航空宇宙・防衛、エネルギー、アウトドアレクリエーション産業が盛んなことを説明し、マイクロソフトやアドビなどのテック企業が「シリコン・スロープ」(注)エリアに集積していることも紹介した。また、2015年に同州に進出したスイスの鉄道車両メーカーのスタッドラーが、翌2016年サンフランシスコの鉄道会社から大型契約を受注した際に、短い納期に間に合わせるべく州を挙げて工場の拡張を支援した事例を紹介した。さらに、雇用創出や賃金支払いの実績に応じて、州の法人税や売上税の控除が受けられるインセンティブなども紹介した。

セミナー終了後には、企業の参加者と各州担当者が直接意見交換をするネットワーキングの時間が設けられた。参加者からは「工場設立を検討したい州が見つかった」「各州で横比較できる点や多くの州政府担当者と会えたことが良かった」などの感想が聞かれた。一方、各州の担当者からは「一度にこれだけ大勢の日本企業と出会える機会を得られてうれしい」「(カリフォルニア州の)近隣州であるが、日本企業には知られていない。毎年、開催してほしい」「既に進出している企業に話すのはより現実的で効果的だと感じた」との声があった。

(注)シリコン・スロープについては、調査レポート「北米発イノベーションの新潮流」(2014年4月17日)参照。

(北條隆)

(米国)

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