ルクオイル子会社、モロッコに潤滑剤供給拠点を開設

(ロシア)

欧州ロシアCIS課

2018年12月14日

ロシアの民間産油大手ルクオイルが100%出資し、潤滑剤を生産・販売するLLKインターナショナルは12月6日、モロッコでの子会社の法人登記手続きを終えたと発表した。経済発展が顕著なアフリカ西・北部の市場で潤滑剤を供給する予定だ。

同社のキリル・ベレタ代表取締役はアフリカ市場進出の理由について、「工業が急成長し、自動車保有台数も伸びているため、潤滑剤の需要が見込まれる」と説明した。製品はルクオイルの在欧州生産拠点からアフリカへ輸送するほか、モロッコ国内の精製工場との契約生産で供給する。これまで、ルクオイルはエジプトや西アフリカ地域の石油・天然ガス採掘事業(上流開発)に関わっており、1995年にエジプト「メレイハ」鉱区、2000年代に同国内で2鉱区の探査・採掘事業に参加した。2014~2015年にはカメルーン、ガーナ、ナイジェリアの各事業の権益を取得している。今回、自動車分野など工業化が著しいモロッコを足掛かりに、下流分野の潤滑油販売市場に参入する。

ロシアの同業他社も、アフリカ各国の事業開発に積極的に参画している。国有最大手ロスネフチは10月8日、米国エクソンモービルとともに、モザンビーク政府と同国内の石油ガス3鉱区の探査契約に調印した(2018年10月19日記事参照)。アンゴラの原油採掘事業には、ガスプロムネフチがセルビアの子会社であるセルビア石油産業(NIS、出資比率56%超)を通じて関与している。また2017年6月に、国営ザルベジネフチ(ロシア連邦資産庁が100%出資)がガボン石油会社(GOC)と調印した枠組み合意書には、ガボン国内の鉱区開発やアフリカの石油・ガスインフラ施設の設計・建設などで協力していくことが記されている。

ロシア政府も、アフリカ諸国との経済関係強化を支援する。2018年11月下旬には中東・アフリカ諸国担当のロシア連邦大統領特別代表らが、アフリカ輸出入銀行のベネディクト・オラマ総裁とモスクワで会談した。ロシア企業によるアフリカでの大型投資事業の可能性などを協議し、互恵的な提携関係を今後、発展させていく方針を確認している(ロシア外務省プレスリリース11月29日)。

(市谷恵子)

(ロシア)

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