ヘン財務相、次期首相の最有力候補に

(シンガポール)

シンガポール発

2018年11月26日

シンガポールの与党・人民行動党(PAP)は11月23日、同党の最高意思決定機関である中央執行委員会(CEC)の会合を開き、第1書記長補としてヘン・スイキャット財務相(57歳)を選任したと発表した。同党の書記長(リー・シェンロン首相)に次ぐ第2位のポストにヘン財務相の就任が決まったことで、同財務相が次期首相最有力候補となった。第3位のポストである第2書記長補には、同財務相と並んで次期首相候補とみられていたチャン・チュンシン貿易産業相(49歳)が選任された。

PAPは同月11日の党大会でCECの改選を行い、ヘン財務相、チャン貿易産業相を筆頭に若手の第4世代グループを中心とする委員14人を選出した。リー首相は同大会で、2021年4月までに実施予定の総選挙を2019年にも前倒しで実施する可能性に言及していた(2018年11月22日記事参照)。同首相はこれまでに繰り返し、次期総選挙後に首相交代する意向を表明しており、次期首相の有力候補となる第1書記長補の人事の行方に注目が集まっていた。

リー首相は11月23日のCEC会合後、自身のフェイスブックで、若手閣僚や幹部らがこの数カ月話し合いを重ねた結果、「彼らの指導者として、ヘン財務相を選ぶことで合意した」と説明した。それを受け、同財務相はチャン貿易産業相に第2位のポストに就任するよう要請し、第4世代グループは同財務相の意向を承認した。リー首相は「若手チームの決定を支持する」と述べた。

ヘン財務相、次期内閣改造で副首相就任の見通し

ヘン財務相は近く行われる内閣改造で、副首相に任命される見通しだ。同財務相は、故リー・クアンユー初代首相の首席秘書や貿易産業省の次官などを経て、2005~2011年にシンガポール通貨金融庁(MAS、中央銀行に相当)長官を務めた。2011年5月の総選挙で政界入りした直後に教育相(2011~2015年)に就任、その後、2015年10月から財務相を務めている。同財務相は2016年5月、閣議中にくも膜下出血で倒れて入院したが、同年8月には再び財務相の職務に復帰した。同財務相は2016年から中期的な国家経済戦略を立案し、実行する官民代表からなる未来経済委員会(CFE)の共同委員長も務めている。

(本田智津絵)

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