コロラド州の新知事は民主党、進歩的な公約を掲げて当選

(米国)

ロサンゼルス発

2018年11月13日

11月6日の中間選挙に行われた州知事選挙の結果、コロラド州では民主党の連邦下院議員のジャレド・ポリス氏が、共和党候補のウォーカー・ステイプルトン氏に約10ポイント差をつけて当選した。ポリス氏は、同じく民主党のジョン・ヒッケンルーパー現州知事から引き継ぐことになった。6月のCBSの報道によれば、コロラド州では、民主党と共和党の支持有権者数がそれぞれ100万人で拮抗(きっこう)し、無党派層は約120万人といわれていたが、ポリス氏による反トランプ政権のメッセージなどが無党派層から多くの票を呼び込む結果となったもようだ。

リベラル派のポリス氏は、米国史上初めて同性愛者であることを選挙前に公言した州知事となった。同氏は選挙中には将来的な皆保険制度の実現を含むヘルスケアの強化、銃規制の徹底、再生可能エネルギーへの投資誘致、死刑制度の廃止、公立学校の全日制幼稚園への拡大など進歩的な内容を提案した(2018年7月2日記事参照)。

中道左派のヒッケンルーパー現知事の功績もあり、多くの企業投資で潤うコロラド州経済にあって、選挙中には州経済やビジネスに関する議論はあまり重視されなかった。しかし、当選後の11月8日、ポリス氏は州有地の保護と豊富な自然資源を生かした「アウトドア観光やレクリエーション経済の成長」に取り組んでいく旨を発表した。また、過去にIT企業3社を設立した経験を基に、IT分野には力を入れていくとみられている。連邦下院議員で構成されるブロックチェーン議員連盟(Congressional Blockchain Caucus)の共同議長を務める同氏は、コロラド州を全米のブロックチェーン技術の中心点とし、ブロックチェーン技術やイノベーションに関わる法整備、促進のためのフレームワークづくりを支援していく、と公約していた。

インフラ分野では、再生可能エネルギーに着目し、2040年までに州の発電量の100%を再生可能エネルギーにするという野心的な提案をしている。ただし、同州では石油・天然ガス産業が有力で、知事選と同日に行われた州民投票では、住宅街や川などから一定範囲内で、シェールオイルの採掘に用いられる水圧破砕法(フラッキング)の使用を禁ずる内容の提案(プロポジション112)が否決された。地元紙「デンバーポスト」(電子版11月8日)によれば、石油・天然ガス関連企業が反対キャンペーンに3,000万ドル以上を費やしたとされている。環境派のポリス氏が、いかにして再生可能エネルギーの促進を進めていくかが注目される。

(北條隆)

(米国)

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