連邦政府、外資含む自動車組み立て4社と特別投資契約を締結へ

(ロシア)

欧州ロシアCIS課

2018年11月28日

ロシア連邦政府は、自動車組み立て大手現代自動車(サンクトペテルブルク市)、商用車製造の地場大手ガズ(ニジニ・ノブゴロド州)、BMWと自動車組み立て受託の地場大手アフトトル(ともにカリーニングラード州)の計4社と特別投資契約を2018年内に締結する。政府関係者や各社のコメントに基づいて報道各社が伝えた。契約締結によって政府から税制優遇や補助金などの措置が提供される。

11月26日に産業商務省、財務省、連邦反独占局、経済発展省の4者による政府間会合が開催され、現代、ガズとの特別投資契約の締結が承認された。BMWとアフトトルとの締結は次回会合で承認される見込み。この契約は自動車組み立て会社が目標とする部品製造の現地化(ローカライゼーション)比率、輸出額や投資額などを設定し推進する見返りに、連邦・地方政府が輸入関税や各種税金(利潤税、資産税など)の優遇、補助金の提供などをするもので、契約期間は10年を超えない。契約内容は非公開で各社の目標実現に向けた困難度などによって支援内容が配慮される。

今回締結される特別投資契約は、連邦政府内で現在検討されている「第2世代(バージョン2.0)」(2018年7月12日記事参照)ではなく、既存のフォーマット(バージョン1.0)となる。ロシアでは2019年1月から付加価値税の税率が18%から20%に引き上げられることが決定されている(2018年8月6日記事参照)が、2018年内に締結される特別投資契約は付加価値税が18%に固定される見通しで、2%の差額分は免税もしくは補填(ほてん)されると報じられている(「コメルサント」紙11月26日など)。

今回締結する4社はいずれも現行の協定(注)の失効期限が近いと報じられており、現代は11月末に現在の優遇条件が失効する予定。同社は特別投資契約を締結するに当たり、273億ルーブル(約464億円、1ルーブル=約1.7円)を投じてサンクトペテルブルクに200ヘクタールのエンジン工場を建設し、中国からエンジン製造工程を移管、将来的には年15万基を組み立てることや、研究開発(R&D)センターの設立などを発表している。ガズについても輸出拡大や、R&Dの拡充などの目標が契約に含まれると報じられている。

日系企業では、2018年5月に開催された政府間会合で、ウリヤノフスク州でトラック組み立てを行う「いすゞ・ソレルス」との特別投資契約締結を認められている(2018年5月23日記事参照)。

(注)政府決定第166号による「工業組み立て」に代表されるスキーム。詳細は調査レポート「ロシアの自動車部品産業」PDFファイル(0.0B)(2012年7月)10ページ目以降を参照のこと。

(高橋淳)

(ロシア)

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