ベルリンで「スタートアップナイト2018」、日本のイノベーションをPR

(ドイツ、日本)

ベルリン発

2018年11月09日

ベルリンでは、スタートアップ企業と大企業との連携の活発化を目的とした、ドイツ大企業によるスタートアップイベントが数多く開かれている。そのうちの1つが、ドイツテレコムやフォルクスワーゲンなどがメインスポンサーとなり毎年開催されている「スタートアップナイト」で、2018年(9月7日)は日本がパートナー国を務めた。

開会式では、デジタル担当国務相のドロテー・ベア氏、八木毅在ドイツ大使、エネルギー大手のエー・オン・エネルギーやドイツテレコムなどの最高経営責任者(CEO)らが登壇した。日本はパートナー国として、「ソサエティー5.0」(注1)について情報発信をするとともに、スタートアップ育成支援プログラム「J-Startup」などを紹介した。

写真 ジャパンパビリオンには深夜まで来訪者が絶えなかった(ジェトロ撮影)

ジャパンパビリオンには深夜まで来訪者が絶えなかった(ジェトロ撮影)

写真 ジェトロはパートナー国として日本のスタートップの魅力などを発信(ジェトロ撮影)

ジェトロはパートナー国として日本のスタートップの魅力などを発信(ジェトロ撮影)

日本からは、J-Startup企業外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(注2)1社を含む6社がジェトロの支援を受け参加し、メインステージでピッチ(注3)などを行った。このほか、6社はドイツ連邦国防省サイバーセキュリティー研究所や、フォルクスワーゲン主催イベントにおいてもベンチャーキャピタル向けにピッチや商談を行った。

J-Startup企業で大きな関心を集めたHoloeyesは、2016年10月に創業。仮想現実(VR)を用いた医療向けのコンテンツを開発している。具体的には、ゴーグル型の機材を通して臓器を立体的に確認することができ、手術中やその前後にも関係者間で具体的なイメージを共有することが可能となる。同社CEO兼最高技術責任者(CTO)の谷口直嗣氏は「今回のイベントでの出会いを皮切りに、ドイツの医療機関などに積極的にデモンストレーションを行っていきたい」と意欲を示した。

写真 デモンストレーション機材を装着しピッチを行うHoloeyesの谷口直嗣氏(ジェトロ撮影)

デモンストレーション機材を装着しピッチを行うHoloeyesの谷口直嗣氏(ジェトロ撮影)

なお、ドイツ・スタートアップ連盟とKPMGベルリン事務所は10月24日、ドイツにおけるスタートアップ企業動向を分析した「ドイツ・スタートアップ・モニター2018」PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を発表した。それによると、分野別では情報通信技術関連のスタートアップ企業が31.6%を占め、地域別にみるとベルリンが15.8%と、ドイツ最大の集積地となっている。

(注1)人類がこれまで歩んできた「狩猟」「農耕」「工業」「情報」に次ぐ「第5」の新たな社会(Society)を、イノベーションによって生み出そうという日本政府が提唱する科学技術基本計画のコンセプト。

(注2)経済産業省の支援プログラムJ-Startupで審査の上選定された有望企業。

(注3)スタートアップが投資家に向けて短時間で行うプレゼンテーション。

(油井原詩菜子、増田仁)

(ドイツ、日本)

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