国家予算法案が成立、緊縮財政の遂行が主目的

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2018年11月30日

2019年国家予算法案が11月14日、アルゼンチン上院で賛成45票、反対24票、棄権1票で可決された。10月26日に同法案は下院を通過し(2018年11月14日記事参照)、上院への審議が移ってからも野党の強い反発があったものの、政府は一部ペロン党穏健派の支持を得ることで、予算を政府案どおり成立させた。

アルゼンチンは10月、IMFからの追加融資を受け、緊縮財政の達成が要求されている。さらに11月30日から12月1日にかけて開催されるG20首脳会議も控え、2019年に向けた国家予算法案の可決が急がれていた。

同法案に賛成した与党カンビエモスのルイス・ナイデノフ上院議員は「通貨の切り下げ、物価高騰、貧困率の増加など、社会および経済的緊急事態時における国家予算」と認め、「これまでのような現実逃避や隠し立ては一切ない」と主張した。

2019年の大統領選挙への立候補を狙うペロン党穏健派のミゲル・アンヘル・ピチェト上院議員は、同じく法案に賛成したものの、「良くない国家予算書だと考えるが、可決させるしか道はない」と説明した。その中で、2019年国家予算法案が可決されなかった場合、前年(2018年)と同じ予算書が使われることになるとともに、政府の自由裁量を許すことになると、FR党(刷新戦線)のマウリス・クロス上院議員は賛成理由を述べた。一方、強く反対したFPV党(勝利のための戦線)のクリスティーナ・フェルナンデス上院議員(前大統領)は、アルゼンチン社会の苦しみを深めるだけだと訴えた。

(山木シルビア)

(アルゼンチン)

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