世界銀行のビジネス環境ランキングが大幅改善

(インド)

ニューデリー発

2018年11月09日

世界銀行が10月31日に発表した、各国のビジネスのしやすさをランク付けする「ビジネス環境の現状2019年版(Doing Business 2019)」で、インドは190カ国・地域中、77位にランクインし、2018年版(100位)から23ランク上昇した(表参照)。モディ政権が発足した2014年に発表された2015年版(142位)からは実に65ランクの大幅アップだ。世界銀行は「経済改革により大幅な改善が見られた上位10カ国」にインドを挙げている。

表 ビジネス環境の現状におけるインドの順位の推移

2018年版から顕著な改善が見られた項目は、建設許可(181位→52位)、国境貿易(146位→80位)、ビジネスの立ち上げ(156位→137位)などだ。建設許可に関してインドは、許可までにかかる時間とコストを削減する電子単一窓口(オンラインシングルウインドー)システムを導入するなどの取り組みを行っている(「エコノミック・タイムズ」紙11月1日)。

他方、2017年7月に導入された「物品・サービス税(GST)」をモディ首相の大改革の1つとして評価しつつ、手続き面では辛口の評価も見られる。例えば「納税」では2018年版から2ランク下がり121位にとどまる。インド商工省産業政策促進局(DIPP)のラメシュ・アビシェク次官は「(産業界が求める)GSTの還付手続きが定着するまでには時間を要するが、2019年にはその進展も評価されるだろう」と見通した。また、2016年に成立した破産倒産法には一定の成果が出ているとしつつ、「今後は従業員国家保険(ESI)や従業員積立基金(EPF)関連手続きを企業の設立システムに一元化することなどの改革に注力したい」(同上)とした。

現在、インド政府はDIPPを事務局として、世界銀行の全面協力を得ながらランキングの向上に取り組んでいる。具体的には、州別のランキング導入(2018年10月30日記事参照)、ビジネスのしやすさの向上に資する新政策の公募、政策導入の先進的な州が後発州を支援する体制づくりなどで、官僚機構全体を巻き込み、州間の健全な競争を促す取り組みといえそうだ。

(古屋礼子)

(インド)

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