トランプ大統領と下院民主党、インフラなどでの連携を模索

(米国)

ニューヨーク発

2018年11月09日

トランプ大統領は11月7日、前日に投開票された米国連邦議会中間選挙の結果(2018年11月7日記事参照)について記者会見を行い外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます、下院選挙で過半数を獲得した民主党との連携に期待を示した。具体的な連携分野としては、経済成長、インフラ、貿易、処方薬価の引き下げを挙げた。これらは民主党も推進したいと考えている政策分野で、同党との協力が可能だとしている。特にインフラについて、両党で共有している部分が多くあるとした。

新議会での下院議長への就任が目されるナンシー・ペロシ下院少数党院内総務(民主党、カリフォルニア州)も11月8日、トランプ大統領と話し合った結果として、インフラと処方薬価引き下げにおいて、両党の連携が可能、との見方を示した。インフラについては、「陸上交通であれ水道システムであれ、給与水準の高い雇用を創出したい」と述べた。

ただし、ペロシ議員は連携の条件として、全米20州の司法長官がオバマケアの違憲性を訴えた訴訟への、トランプ政権の支持を取り下げるよう求めた。ペロシ議員は、今回の選挙結果は「ヘルスケアの勝利だ」と総括し、オバマケアの維持に取り組むことをあらためて強調した。司法省は6月、この訴訟に関して、既往症を持つ人々の保険加入を拒否することや高額の保険料を適用することを保険会社に禁じるオマバケア関連法(Affordable Care Act)の条項は違憲で、司法省は同条項を擁護しない、と連邦裁判所に通知している(「ニューヨーク・タイムズ」紙6月7日)。

中間層に対する減税は民主党次第

トランプ大統領はまた、共和党議会指導部と10月31日に発表した中間層に対する減税案外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますについて、民主党の支持なくしては実現しないと述べた。その上で、「民主党がもし減税案を示したら、それが多少の調整を必要とする場合でも、何らからのかたちで実現を目指す」と発言している。さらに、その調整には法人税の引き上げが含まれるかとの記者からの問いに対して、その可能性を否定しなかった。なお、ブルームバーグ(11月7日)は、中間層への減税と引き換えに法人税の引き上げを行う案でトランプ大統領と民主党がたとえ合意したとしても、引き続き共和党が支配する上院の支持を得られる可能性は低い、と分析している。

(鈴木敦)

(米国)

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