VTBと極東の小売り大手、アリペイでの決済サービスを開始

(ロシア)

欧州ロシアCIS課

2018年11月29日

ロシア大手の外国貿易銀行(VTB)は11月26日、ロシア極東で中国の決済サービス「支付宝(アリペイ)」の展開を開始したと発表した。ロシア極東の小売り大手と組み、中国からの観光客をターゲットにする。

導入されたのは、その場で現金を使用せず、QRコードを利用するQR決済。VTBは2017年10月から順次、モスクワ、サンクトペテルブルク、イルクーツク(東シベリア)などで導入しており、今回、ロシア極東全域で「サムベリー」「ラスドバ」などの幅広い小売店舗ネットワークを有するネワダ・グループ(本社:ハバロフスク)と組み、同店舗に端末を設置してサービスを展開する。

アリペイのロシア法人社長のボグダン・ザドロジニィ氏は「(今回の端末導入で)ロシア極東で中国の消費者による追加需要が生じるだろう」とコメントした。ネワダ・グループのユーリ・エゴロフ社長も「中国からの旅行客の購入額は通常(の買い物客)より2~3倍多い」と述べ、中国人観光客の支払いの利便性を高めるアリペイの導入は、同社の売り上げ増加に貢献するとの見通しを示している。

2017年における中国からロシア(全体)への旅行客数は前年比14%増の178万200人で、訪ロ外国旅行客数の国別で1位となった(ロシア連邦保安局発表)。ロシア極東では、2017年8月に開始されたインターネット経由で申請できるロシア入国ビザ(E-ビザ)制度の運用が2018年にかけて拡大されていること(2018年1月10日記事参照)や、通貨ルーブルの対元レートが下落していることなどから、観光や買い物を目的とする中国人旅行客が増加している。中国側の発表(注)によると、ウラジオストクはモスクワに次ぐ2位の行き先になっており、2018年には70万人を超えるとの推測もある。

(注)ロシア極東発展省との会合での、李輝駐ロシア中国大使のコメント(2018年5月6日)。

(高橋淳)

(ロシア)

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