WTO改革を支持する欧州化学産業界

(EU)

ブリュッセル発

2018年10月12日

欧州化学工業連盟(Cefic)は10月11日、WTOの改革に向けたEUとしての提案(2018年9月19日記事参照)を支持する方針を明らかにした。Ceficは「世界経済の安定は、WTOを国際貿易ルールや多国間通商システムを実効的に守る存在に改革できるかどうかにかかっている」と発表、世界で貿易摩擦が強まる中、WTOの在り方を見直す必要があるとした。

「SDGs」にも配慮した、新たな世界貿易システムを提唱

化学業界では、Ceficも参加している国際化学工業協会協議会(ICCA)が10月3日、「21世紀の世界の化学品貿易促進のための声明」を発表。WTOルールに基づく多国間の貿易システム、あるいは国・地域間や複数当事国間の合意を通じた自由貿易の在り方を見直す必要がある、との見解を明らかにしている。これを踏まえて、Ceficは「ルール形成」「透明性」「紛争解決システム」などの観点で、WTO改革を目指すEUの提案を支持すると表明した。

またCeficは、「持続可能な開発目標(SDGs)」の実現に通商政策の果たす役割が重要との認識に立ち、今後の世界貿易システムの改革にも「持続可能性」の視点を取り込むべきと指摘した。この背景には、さまざまな用途に利用される化学品を扱う産業としての特性があるとし、「SDGsの目標達成のために、化学産業の果たす役割は大きい」との自負を明らかにした。

なお、WTO改革をめぐっては、ビジネスヨーロッパ(欧州産業連盟)も「今すぐにやるか、諦めるのかが問われている」と題する声明を10月2日付で発表している。

(前田篤穂)

(EU)

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