ビジネスヨーロッパ、ASEMに併せて産業交流フォーラム開催

(EU、アジア)

ブリュッセル発

2018年10月22日

欧州理事会(EU首脳会議)のドナルド・トゥスク常任議長は10月19日、ブリュッセルで10月18~19日開催された第12回アジア欧州会合(ASEM)首脳会合を終えて、現在の地政学的情勢の中、欧州とアジアが法に基づく国際秩序に対する支持を再確認できたことが、今回の会合の最大の成果だとの認識を明らかにした。

トゥスク常任議長は、昨今の不確実性の時代において、欧州・アジア間における相互の貿易、人的交流および安全保障強化がEUとしての願いである点を強調。さらに、モノ・投資、情報、人などの自由な交流がグローバルな成長に貢献する点はもちろんのこと、欧州・アジア間の真の連結性(Connectivity)強化は、教育と、共同研究や観光などの人的交流によって達成される点も指摘した。これに先立ち、欧州委員会はアジアとの連携強化のための戦略(2018年9月21日記事参照)を採択しており、持続可能かつ包括的で、ルールに基づく連結性の実現をEU・アジアで推進する方針を打ち出している。

中国、日本、インド、ASEANとの連結性強化を期待するEU

また、今回のASEMの機会を捉えて、ビジネスヨーロッパ(欧州産業連盟)は10月18日に、産業レベルの相互交流を目指す「アジア欧州ビジネスフォーラム(AEBF)」(第16回)を開催した。ビジネスヨーロッパのピエール・ガタズ会長は「欧州とアジアは、共に経済協力を推進したい考えを持っており、開放的でルールに基づく通商関係を重視する立場も一致している」「市場原理、透明性、開かれた公共調達、公平な競争条件を尊重することが欧州・アジアの互恵関係の基礎だ」と指摘。野心的な通商協定の締結で、さらに経済関係の強化を図ることができると語った。

ビジネスヨーロッパは、現在のEU・アジア関係のカギとなるのが連結性だとし、現在進行している具体的なプロジェクト主体として、アジアインフラ投資銀行(AIIB)、欧州戦略投資ファンド(EFSI)、欧州復興開発銀行(EBRD)、欧州投資銀行(EIB)を挙げた。また、中国のほか、日本、インド、ASEANなどのアジア各国がそれぞれ、EUとの連結性強化を目指す戦略打ち立てていることも明らかにした。

なお、今回のASEM首脳会合に併せて、「EU・シンガポール自由貿易協定(FTA)」および「EU・シンガポール投資保護協定」が署名(2018年10月16日記事参照)された。

(前田篤穂)

(EU、アジア)

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