中国EU商会、米中貿易摩擦の影響調査レポートを発表

(中国、米国)

北京発

2018年10月02日

中国EU商会は9月13日、米中両国の追加関税賦課の中国進出EU企業への影響を調査したレポート外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。同レポートは、9月3日時点までの影響を、同商会の会員企業に対して調査した結果(193社からの回答)をまとめたもの。

同レポートによると、米国と中国の追加関税賦課措置が与える影響についての設問に対しては、米国側の措置については53.9%が、中国側の措置については42.9%の企業が「ネガディブな影響がある」と回答した(図1参照)。

図1 米中の追加関税賦課による企業への影響

米中貿易摩擦への対応についての設問(複数回答可)に対しては、72.5%が「状況把握の段階」と最も割合が大きかった一方、「投資や設備投資の決定を延期」(14.0%)、「事業拡大策の延期」(8.3%)、「サプライヤーの見直し」(5.2%)との回答もみられた(図2参照)。

図2 米中貿易摩擦への対応

さらに、米中貿易摩擦に関連する製品の生産について、6.7%が「中国からの生産能力の移転・撤退」を、5.2%が「米国からの生産能力の移転・撤退」を実施・検討していると回答しており、一部の企業には深刻な影響が出ていることが明らかになった。

また、会員企業の個別事例として、「中国市場向けの調達先を変更し、中国外の施設から米国市場向けのサービスを提供しようと試みている」「米国に新たな関連会社を立ち上げ、中国にある自社から米国の関連会社に対し移転価格で輸出・販売する方法をとることにした」「中国で生産した製品をEUにまず輸出し、EUから米国に再輸出した」などが挙がった。

中国米国商会のマッツ・ハーボーン会長は「米中貿易摩擦の中国進出EU企業に与える影響は著しくネガティブで、関税引き上げを続けることは非常に危険だ」との認識を示した。

なお、中国米国商会と上海米国商会も9月13日、米中両国の追加関税賦課の中国進出米国企業への影響についてのレポートを発表しており、米国の2,000億ドル、中国の600億ドル相当の品目に対する追加関税賦課(第3弾)の影響について、発動された場合、「強い悪影響がある」もしくは「やや悪影響がある」と回答した企業が74.3%に上っていた(2018年9月20日記事参照)。

米中貿易摩擦が長期化する中、中国でビジネスを行う外資企業へも影響が広がりつつあるようだ。

(藤原智生)

(中国、米国)

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