米中貿易摩擦、7割超の中国進出米国企業が「悪影響あり」と回答

(中国、米国)

北京発

2018年09月20日

中国米国商会と上海米国商会は9月13日、米中両国の追加関税賦課の中国進出米国企業への影響についてのレポート外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。同レポートは、8月29日~9月5日に両商会が会員企業に対して実施した調査結果(432社からの回答)をまとめたもの。

米中両国の約500億ドル相当の品目に対する追加関税賦課(第1弾、第2弾)の影響については、60%超の企業が「強い悪影響がある」もしくは「やや悪影響がある」と回答した。さらに、米国の2,000億ドル相当、中国の600億ドル相当の品目に対する追加関税賦課(第3弾)の影響については、発動された場合、「強い悪影響がある」もしくは「やや悪影響がある」と回答した企業が74.3%、67.6%に跳ね上がった。うち、「強い悪影響がある」と回答した企業の割合をみると、米国の第3弾の追加関税賦課については47.2%、中国の第3弾の追加関税賦課については38.2%と、第1弾・第2弾への「強い悪影響がある」との回答(それぞれ21.5%、16.0%)の2倍以上となり、影響の大きさがうかがえる(図1、図2参照)。

図1 米国の追加関税賦課による影響
図2 中国の追加関税賦課による影響

産業別の影響をみると、第1弾・第2弾の追加関税賦課では、米国側追加関税の影響を受けるとした上位3産業は、機械(82.6%)、電子機器(81.3%)、自動車(80.5%)となった(表参照)。また、第3弾では、自動車(88.9%)、機械(86.9%)、電子機器(81.2%)だった。

表 追加関税の産業別影響

これら追加関税賦課の事業運営への主な影響としては、「生産コストの上昇(47.1%)」「製品需要の減少(41.8%)」「製品価格の上昇(37.1%)」などが挙げられた。

また、事業戦略への主な影響については、「投資の取り消しや延期(31.1%)」「サプライチェーンの調整・部品の調達先変更/米国外での組み立て(30.9%)」が挙げられた。

さらに、直近数カ月において通関の遅延などの非関税障壁の増加を経験したかとの設問に対しては、47.9%が「なし」と回答した一方、「検査(税、環境など)の増加(27.1%)」「通関の遅延(23.1%)」「行政監督の強化などによるその他の問題(19.2%)」「許認可の遅延(14.8%)」となり、中国進出米国企業への影響がさまざまなかたちで表れていることが浮き彫りになった。

両商会は「米国企業は米中双方の報復関税で苦しんでいる。追加関税の賦課はさらなる被害をもたらすだけだ」とし、両国政府が交渉のテーブルに戻るように強く求めるコメントを発表した。

(藤原智生)

(中国、米国)

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