プーチン大統領、2024年までの内政目標を提示

(ロシア)

欧州ロシアCIS課

2018年05月08日

プーチン大統領は5月7日、2024年までの内政目標を提示し、政府に対し実現のためのプログラムの策定を指示した。

署名したのは大統領令「2024年までのロシア連邦発展戦略の課題と国家目標について」(2018年5月7日付)。大統領任期の4期目となる2018年から2024年の6年間の内政目標を9分野で設定している。a.人口増加、b.平均寿命の伸長(78歳まで)c.国民の実質所得の向上、特に年金についてはインフレ率以上の伸びを確保すること、d.貧困層の半減、e.住・都市環境の改善、f.技術革新の加速、g.経済・社会分野へのデジタル技術導入、h.世界平均を上回る経済成長と安定したマクロ経済運営、およびインフレ率の抑制(年率4%以内)、i.加工業、農林水産業、非資源・エネルギー分野での輸出志向産業の創出、がその柱。

加えて、目標達成のため政府に対し、2018年10月1日までに2024年までの社会経済予測と政府の活動方針を定めるよう指示するとともに、次の13の分野で個別プログラムの策定を求めた。指定された分野は、a.人口政策、b.保健、c.教育、d.住居・都市環境、e.環境保護、f.道路の安全と品質、g.労働生産性と雇用支援、h.科学、i.デジタル経済、j.文化、k.中小企業支援、l.輸出、m.インフラ整備となっている。

「輸出」に関して、加工産業、農業、(非資源分野での)サービス輸出の比率をGDPの20%以上とし、非資源・エネルギー商品の年間輸出額を年2,500億ドル(機械設備分野500億ドル、農林水産分野450億ドル、サービス分野1,000億ドルを含む)の目標を設定した。また、輸出に向けた行政手続き削減、金融支援などのほか、輸出促進に向けて海外に配置する通商代表部の見直しを含めた機構改革にも触れている。

「インフラ整備」に関しては、2024年に向けた基幹インフラの改修・拡大計画の策定を指示。中国西部と欧州をつなぐ国際輸送道路の整備(ロシア部分)、港湾能力の拡大、北極海航路の輸送能力強化、シベリア鉄道の輸送能力強化(極東~欧州国境の輸送日数を7日以内に短縮、コンテナ輸送量を4倍に拡大。輸送能力を1.5倍の1億8,000万トンに拡大)、国際輸送路「南北」の整備(2018年2月1日記事参照)などが含まれている。

内政目標の提示・政府への指示は、プーチン大統領の第3期目がスタートした2012年5月にも出され、「マイスキエ・ウカーズィ(5月の一連の大統領令)」と呼ばれる。大統領令には、この内政目標に沿って連邦予算が優先的に配分されることが明記されている。

(高橋淳)

(ロシア)

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