カリフォルニア州が衛星打ち上げ計画、大気汚染源を特定へ

(米国)

サンフランシスコ発

2018年10月01日

カリフォルニアのジェリー・ブラウン州知事が、同州が温室効果物質の排出源を特定するための人工衛星の開発・打ち上げ計画があることを発表した。同知事は9月14日、サンフランシスコ市内で開催中された気候変動の国際会議「グローバル・クライメート・アクション・サミット」の閉会あいさつに登壇し、「科学をもってしても依然として気候が脅威にさらされ、その脅威は強まっている。自分たちの衛星を打ち上げ、未曾有の正確さで(地球を)破壊する(温室効果ガス)排出を食い止める」と述べた。同州は今後、衛星画像データの提供や分析を行うプラネット・ラブズ(本社:サンフランシスコ)と提携して計画を進める。

プラネット・ラブズは、米国航空宇宙局(NASA)に勤めていた科学者らによって2010年に設立された企業で、過去2年間で150基以上の人工衛星の製造と打ち上げの経験がある。衛星本体の開発、打ち上げ、操作などを同社が担当し、同州は管轄機関として、大気保全のための法整備や調査を行う大気資源局(CARB)がそれを実現するための技術開発を行う。

同州が想定する衛星は、目視で確認できない汚染物質の可視化を目的とするもので、二酸化炭素ほど大気中にとどまらないが、より強力な汚染効果を持つ物質の排出源を特定する。その排出源に対して直接的に働き掛けることで、即効性のある地球温暖化防止効果が期待できる。収集した環境関連のデータは、調査に活用されるほか、一般にも公開される。調査やデータ公開は、2018年4月に温室効果ガス(GHG)の1つであるメタンの排出量を測定する衛星を打ち上げた、環境保護団体の環境保護基金(EDF)と協力関係を結んで行われる。

同州は、全米の中でも最も積極的に環境対策を推し進める州の1つだ。8月末には、再生可能エネルギーによる発電比率を2045年までに100%に高める法案が可決(2018年9月4日記事参照)されたほか、9月13日には同州知事が、電気自動車や燃料電池車の普及を促進し、GHG排出削減を目的とする複数の新たな法案に署名した(注)。また、州内のGHG排出量を、2050年までに段階的に1990年レベルから80~95%削減する目標を掲げている。

(注)中古の電気自動車や燃料電池車の購入者を対象に、バッテリーや燃料電池部品など交換部品の購入費のリベート(払い戻し)プログラムの導入、自動車配車サービスを対象とするGHG削減目標の設定、無排気のスクールバスや他の重量車、重機の普及推進のためのインセンティブ導入など。

(高橋由奈)

(米国)

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