トゥスク常任議長、ブレグジット問題の現実的な解決に期待

(EU、英国)

ブリュッセル発

2018年10月05日

欧州理事会(EU首脳会議)のドナルド・トゥスク常任議長は10月4日、アイルランドのレオ・バラッカー首相との会談を終えて、正念場を迎えつつある英国のEU離脱(ブレグジット)交渉についての率直な問題認識を明らかにした。

EUが想定する対英協定は「CETAプラス・プラス・プラス」

まず、トゥスク常任議長は「ブレグジットに伴う損害を最小限に食い止める現実的な対応に専心すべき」との認識を示し、感情的な主権論を戦わせている場合ではないと語った。また、「今は、次回欧州理事会(2018年9月21日記事参照)までに最大限の進展を図るべき時」と指摘、英国側に対しても「保守党大会が終わったら、直ちに現実に戻るべきだ」と述べた。

同常任議長はEU・英国の将来関係について「われわれ(EU側)は当初から(単なる通商協定である)EUカナダ包括的経済貿易協定(CETA)のレベルにとどまらず、通商分野に加えて、外交・安全保障政策での連携も含めた広範な『CETA+++(プラス・プラス・プラス)』レベルを提案してきた」と語り、EU全体として、また27カ国の利益を守るというEUの任務のため、真剣に着地点を模索している姿勢を示した。

なお、トゥスク常任議長はこの声明の中で、化学兵器禁止機関(OPCW、本部:オランダ・ハーグ)に対するサイバー攻撃が同日発生したことに言及し、ロシアの情報機関による犯行との認識を示して非難。次回欧州理事会の議題として取り上げるとした。

(前田篤穂)

(EU、英国)

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