ブレグジット問題めぐる英国提案に疑念示す

(EU、英国)

ブリュッセル発

2018年09月21日

欧州理事会(EU首脳会議)のドナルド・トゥスク常任議長は9月20日、EU議長国(2018年下期)を務めるオーストリアのザルツブルクで開催された非公式EU首脳会議の結果を総括し、英国のEU離脱(ブレグジット)問題に対するEUとしての現状認識を明らかにした。

10月18日の次回欧州理事会が「正念場」に

トゥスク常任議長はまず北アイルランド国境問題について、確実で、実行可能で、法的拘束力ある解決策なしには離脱協定を締結しないとする従来方針をEU27として再確認した、と語った。

また、EU・英国の将来関係については、可能な限りの明確性をもった共同政治宣言とすることに合意。英国側が発表した、ブレグジット後のEUとの将来関係に関する提案には評価できる要素はあると認めつつ、EU・英国間の「物品に関する自由貿易圏」構想(2018年7月10日記事参照)は「EU単一市場の理念に相いれない」との認識で、実現性に乏しいと指摘した。

そして、今後の交渉日程については、10月18日に開催予定の欧州理事会で一つの正念場を迎えるとの認識を示し、10月中の交渉の最大限の進捗と成果への期待を示した。EUとしては、この状況を見て、ブレグジット交渉の最終決着を図るため、11月に臨時首脳会議を開催すべきか判断する姿勢だ。

(前田篤穂)

(EU、英国)

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