メイ首相、ブレグジット後の移行期間延長の可能性を示唆

(英国、EU)

ロンドン発

2018年10月19日

テレーザ・メイ首相は10月17日夜、欧州理事会にてEU各国首脳にブレグジットに関する英国政府の考えを約15分にわたって説明。この中で、9月の非公式の欧州理事会後に離脱交渉に「好ましい進展」があったと強調したが、EU側は不十分との認識を示した(2018年10月19日記事参照)。

メイ首相は翌18日朝、北アイルランドとアイルランドの国境管理の方策が、移行期間(2020年末まで)に導入されない場合の保険となる「バックストップ・プラン」として、移行期間を「数カ月だけ」延長する可能性を示唆、移行期間延長の可能性を初めて認めた。

英国政府は6月、バックストップとして移行期間後2021年末までをめどにEUとの一時的な関税協定の締結を提案(2018年6月11日記事参照)。移行期間の延長中、アイルランド島の「ハードボーダー」は回避できるが、関税協定以外のEUルールの適用やEU拠出金の支払いは継続することになる。

与党・保守党のEU離脱強硬派の代表格、ジェイコブ・リースモグ議員は移行期間延長は誤りと表明。2021年はEUの次期「中期予算枠組み(MFF)」の初年度だが、英国はその予算編成に関与できず、英国のEU拠出金が高額になる可能性があるとした。同党の親EU派、ニック・ボールズ元技能担当相も「メイ首相はあらゆる立場の同僚議員から信頼を失いつつある」とコメント。移行期間を延長した場合、EU拠出金を170億ポンド(約2兆4,820億円、1ポンド=約146円)程度追加で支払うことになり、財政負担は欧州経済領域(EEA)にとどまる方が小さいと主張した。さらに議会で与党に閣外協力する北アイルランドの地域政党、民主統一党(DUP)のナイジェル・ドッズ副党首も、移行期間の延長は、北アイルランドとグレートブリテン島の制度上の分離につながりかねないEU案の本質的解決にはならないと表明した。

一方、英国産業連盟(CBI)のキャロリン・フェアバーン事務局長は18日、「離脱協定の合意を容易にするのであれば、移行期間の延長は歓迎されるべき。企業が雇用と投資を守る上で、移行期間は最優先事項」とコメント。他方、「産業界の忍耐は限界を超えている。離脱協定の合意、移行期間確保のため双方が妥協する期限は既に過ぎている」との強い懸念も表明した。欧州政治の専門家ニナ・シック氏は英国商工会議所(BCC)の会合で、離脱後に始まる英国とEUの通商交渉は短い移行期間にまとまらない可能性もあるため、移行期間は延長される必要があるだろうとの考えを示した。

(宮崎拓、鵜澤聡)

(英国、EU)

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