ビヤ大統領が当選、36年続く長期政権7期目へ

(カメルーン)

アビジャン発

2018年10月25日

カメルーン憲法評議会は10月22日、独立選挙委員会(CEI)が提出した10月7日の大統領選挙の結果を承認し、ポール・ビヤ候補(現職)の当選が確定した。ビヤ候補の得票率は71.28%で、次点だったカメルーン再興運動(MRC)のモーリス・カムト候補(14.23%)に大差で勝利した。投票率は53.85%だった。

大統領の任期は7年。ビヤ氏は1982年に初めて大統領に就任し、7期目となる今回の任期(2025年まで)を満了すれば43年間にわたる長期政権となる。一方、同氏は1933年生まれで85歳と高齢で、健康上の問題も取り沙汰されており、後継者問題が今後の政局の焦点となりそうだ。

野党側は、10月7日に行われた投票の直後から選挙に不正があったと主張。11日には憲法評議会に対して選挙無効の訴えを18件提起したが、19日に全て棄却された。デモや暴動に備え、ヤウンデやドゥアラなどの主要都市には武装警官が配備され厳戒態勢が敷かれている。

国土の8割がフランス語圏だが、歴史的経緯により西部の2州(北西州と南西州)は英語圏だ。この地域には分離独立を求める武装勢力があり、中央政府に反発するストライキや暴動が度々発生している(2018年3月14日記事参照)。CEIの発表では、両州ともビヤ候補が8割程度の票を得ているが、選挙への不信感と投票所が襲撃されるなどの混乱で投票率は非常に低く(北西州:5.36%、南西州:15.94%)、十分に民意が反映されているか疑問が残る。

10月23日現在、選挙結果をめぐる大きな衝突は起こっていない。当選は予想されていた結果であり、直ちに国内が混乱する可能性は低い。しかし、英語圏の独立運動鎮圧やビヤ大統領の後継者問題など、取り組むべき課題は山積している。ナイジェリア国境付近では過激派組織ボコ・ハラムによるテロも起こっており、治安情勢の立て直しも急務だ。7期目を迎えるビヤ大統領がどのような政策を打ち出すのかが注目される。

(岡崎太)

(カメルーン)

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