ナデジディンスカヤTORの指定地域が拡張

(ロシア)

欧州ロシアCIS課

2018年09月12日

ドミトリー・メドベージェフ首相は8月31日、ロシア極東沿海地方にある「優先的社会経済発展区域(TOR)」(注)の1つ、「ナデジディンスカヤ」の指定区域を拡大する政府決定に署名し、9月3日に公示した。署名されたのは政府決定第1035号(2018年8月31日付)「2015年6月25日付連邦政府決定第629号の修正について」。ロシア極東発展省によると、今回の決定で7カ所の用地が同TORの指定区域として追加され、建設、農業、日用化学品と化粧品製造、物流分野での投資が計画されている。800人の新規雇用が創出される見込み。

通常、発展途上国などで政府が投資促進のために税制優遇措置が伴う特区を設置する場合、特定の工業団地や地域が限定される場合が多い。ロシアの場合は近年、投資案件の内容次第で、ある程度の地域的なつながりがあれば、投資予定区画を後から柔軟に特区に含める方針を取っている(2017年12月4日記事参照)。その一方、拡大認定を受けるため政府との交渉が必要となり、投資計画が正確に立てにくいことや、投資対象区画のインフラ整備費用を投資者側で負担しなければならないケースが発生することもある。アレクサンドル・コズロフ極東発展相は指定地域の拡大について、「どこに立地すべきか、企業自身がよく分かっているためだ」と述べている。

最近、特区が拡大された例としては、スベルドロフスク州の特別経済区(2018年8月24日記事参照)のほか、ロシア極東のTOR「ハバロフスク」(ハバロフスク地方)、「ミハイロフスキー」(沿海地方)、「コムソモリスク」(ハバロフスク地方)、「南ヤクーチヤ」〔サハ共和国(ヤクーチヤ)〕、「プリアムールスカヤ」(アムール州)がある。

(注)一定金額以上の投資を行う企業に対し、企業利潤税(法人税に相当)などの優遇税制を適用する地域。

(高橋淳)

(ロシア)

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